この度、平成24年4月1日付で、弘前大学大学院医学研究科生体構造医科学講座を担当させていただくことになりました(神経解剖・細胞組織学講座併任)。約70年の歴史をもつ伝統ある弘前大学に着任させていただきましたことは身に余る光栄と存じますとともにその重責を感じています。全く初めての地でその大任を担えるのか、未だ不安と期待の毎日ですが、講座のスタッフの方々の暖かい支えで少しずつ前へ進むことが出来ています。
神経解剖・細胞組織学講座ならびに生体構造医科学講座が教育を担当しています解剖学は全ての医学の基盤となるものであり、医学を志すものが必ず学習しなければならない学問です。特に、その中で行われる人体解剖学実習は医師を志す医学生にのみ許された教育であり、その学習が崇高なる志を持たれた人々の御心によってのみ成り立つことを充分に理解することで、生命に対峙する医師としての人格が形成されます。医学・解剖学の一番の教育者は生命の煌めきを本学に委ねていただいた方々であり、その声が最大限に学習者に届くように尽力することが私たちの使命と考えています。
研究面では非常に高い能力を備えたスタッフが独自の視点をもって様々な分野で積極的に活躍しています。その詳細につきましては各教室員の研究紹介の部屋を覗いていただければ幸いです。私は「リンパ管とは何か?」をテーマに、リンパ管の発生・新生の解明からリンパ浮腫治療戦略の開発まで、リンパ管を中心とした顕微解剖学的研究を行っています。日本に深い伝統をもつリンパ管の機能形態学をこの弘前の地から拡げていきたいと思っています。
私自身は愚直に進むしか能がない若輩者ですが、優秀な教室員と力を合わせてこの伝統ある教室を出来る限り発展させていきたいと願っています。どうぞ皆様のご指導とご鞭撻をよろしく御願いいたします。