糖鎖に関する研究に興味がありましたら、お気軽に生化学第一講座に遊びに来て下さい。
                                      (医学部基礎校舎2Fです。)
 

 ある日の教室での会話 (勿論、フィクションです。)
 

 
 大学院生 『教授!教授!ヒトの遺伝子の全配列が解読されたそうです。』
 
 教授   『で?』

 大学院生 『で?って、凄いことじゃないですか。ヒトの設計図が分かってしまうんですよ。』

 教授   『君はどうしてそう単純なスカポンタンかな。確かに1990年代の初めよりヒトゲノム計画が
       本格化し、そろそろ完全に解明されるようだ。しかしそれと同時に、遺伝子の全配列を解明
       することはなんの発展性も持たないことに多くの科学者たちが気づき初めているんだ。もう
       終わりだよ。21世紀は・・・フフッ。』

 大学院生 『あ、教授の何かたくらんでいる顔。』

 教授   『21世紀は糖鎖だ。そう、糖鎖生物学こそこれからの科学である。どれ、ちょっと私たちの
       プロジェクトを紹介しようか。』

 教授   『さて糖鎖生物学といってもピンとこないかもしれないな。まず糖鎖とは何か。糖鎖とは読ん
       で字のごとく糖の鎖だ。この糖の鎖は細胞の表面や生物に不可欠なタンパク質に結合してお
       り、それらの生理活性の発現というものに非常に重要な役割を担っておるんだ。しかしこの
       糖鎖というものは遺伝子によって直接制御されるものではなく、さまざまな因子が関与して
       造られているのだよ。そこで私の研究室は、糖鎖そのものの構造と機能を解明し、さらにそ
       れを人工的に制御してしまおうと考えておるのだよ。どうだい、おもしろいだろ?』

 大学院生 『教授、フリーズしそうです。もう少し簡単に・・・』

 教授   『インターフェロンは知っておるだろ?抗腫瘍効果を期待して使われている抗ガン剤だな。
       しかし一般的なイメージは患者さんが副作用で苦しむという方が強いだろ。実は医薬品で
       使われているインターフェロンのほとんどが、遺伝子導入によってつくられたリコンビナント
       体なんじゃよ。つまり本来ついているべき糖鎖が不完全もしくは欠落してるものなんだ。
       本来のインターフェロンよりも効果が弱くなってしまうため、大量に使わなくてはならない、
       つまり患者さんは副作用で苦しむ、そういうわけだ。これはインターフェロンだけではなく、
       他のさまざまな物質においても同じことが言えるのだよ。そこで私どもの研究室では遺伝子
       導入によって得られたタンパクに、本来あるべき糖鎖、もしくはより生理活性の強い糖鎖を
       導入してしまおうというプロジェクトを進めているのだよ。いわばポストゲノム計画だな。』

 大学院生 『へぇー、凄いプロジェクトですね。大変そうだな。』

 教授   『NO GUTS, NO GLORY.うちの合い言葉だ。』

 大学院生 『21世紀は第一生化学ですね。』
 
 教授   『だろ?なかなかものわかりがいいじゃない。ううん、なんか糖の話をしていたら糖が欲しく
       なってきたな。な?』

 大学院生 『そうですね、発酵した糖を摂りに参りましょう。』

 教授   『なかなかものわかりいいじゃない。』

 

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Produced by Dr. Keinosuke Ishido.