教育

診療科長からの挨拶


呼吸器内科・感染症科 科長  田坂 定智

田坂 定智
 呼吸器内科は2015年10月に独立した新しい診療科です。2016年1月から私が科長を拝命し、同年10月からは感染症科としても診療に当たっています。
 呼吸器疾患は肺癌をはじめとする悪性腫瘍や感染症、アレルギー・炎症性疾患など、呼吸器系というひとつの臓器を舞台に内科のあらゆるエッセンスが詰まっていると言っても過言ではありません。また聴診にはじまり、画像診断、呼吸機能検査、病理検査などひとつの病態を多角的に捉える力がなければ、的確な診断や病態の評価ができず、患者さんにとって最適な治療やケアを提供することもできません。治療も抗癌剤や抗菌薬といった薬物療法に加えて、内視鏡的治療やドレナージ、呼吸管理、呼吸理学療法など多彩であり、何年やっても飽きることのない奥の深い領域です。
 肺癌については、原因となる遺伝子変異を特定して有効な分子標的薬で治療する精密医療(プレシジョン・メディシン)が注目されています。当科では全国規模の肺癌遺伝子診断ネットワークであるLC-SCRUM-Japanに参加しており、治験も含めて有効性が期待される治療を提案しています。また北東日本研究機構や北日本肺癌臨床研究会などの多施設共同研究にも積極的に参加しており、肺癌を中心に数多くの臨床研究を展開しています。また肺癌の他にも間質性肺炎や喘息、COPD、ARDS、非結核性抗酸菌症など数多くの疾患について、エビデンスに基づいた最新の診療を経験することができます。呼吸器外科や放射線科、感染制御センター、集中治療部など関係する診療部門との連携も良好です。取得できる資格としては、呼吸器専門医のほか、気管支鏡専門医、感染症専門医、アレルギー専門医、がん治療認定医などがあります。
 研究面では肺癌や喘息の臨床研究を中心に研究活動を行っており、国内外の学会や学術誌で成果を発表しています。臨床医に研究が必要か疑問に思う人もいるかも知れませんが、エビデンスの本当の意味や限界を理解し、正しくEBMを実践するためには、自分でデータをまとめ、統計解析を経験することが一番の近道ではないかと思います。希望者には研究の初歩から学会発表、論文作成まで懇切丁寧に指導します。
 呼吸器内科は肺癌やCOPD、喘息など扱う疾患が多岐にわたり、患者数も多く、とりわけ超高齢化社会を迎えつつある我が国においては重要性が増している領域ですが、その一方で全国的に専門医が不足しているのが現状です。また呼吸器疾患の患者さんは全身の併存症をもっていることが多く、逆に膠原病やAIDSなど全身性疾患の一部としての呼吸器疾患も少なくありません。当科では全身を診られる優れた呼吸器内科医を育成できるよう、全力で取り組んでいます。一緒に仕事をしてみませんか? 一生苦楽を共にできる素晴らしい仲間が待っています。

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