教育

研修プログラム

後期研修プログラム ~後期臨床研修を終了予定の皆様へ~

 初期臨床研修を通して医療人としての基本的な経験と知識を幅広く身につけられたと思います。この初期研修を基盤として、将来を見据えつつ専門的な経験、知識、技能を修得することが後期専門研修の目的です。
 内科の後期専門研修では、まず広く内科学を修めて欲しいと思います。そのためには、循環器、呼吸器、腎臓という生命に直結する臓器の診療を基本とし、可能な限り、消化器疾患や糖尿病代謝性疾患などの日常診療上遭遇しやすい、そして当科の専門分野とも密接に関係する内科疾患についても研修することが望ましいと思います。これはプロの内科医を目指す方にとって不可欠なステップであり、また将来の内科専門医の資格取得にも必要となるからです。
 診療実績の統計データから理解されるように、循環器・呼吸器・腎臓内科は院内でもっとも多忙な診療科です。症例数の多さ、疾患内容の豊富さは他のどの施設にも勝るとも劣りません。さらに当科には豊富な臨床経験と優れた臨床技能を有するスタッフが多数在籍しており、親身に、そして時には厳しく諸君を指導し、将来どこでも通用する、どこからも歓迎される、そして何よりも患者様に信頼されるプロの内科医を養成したいと思っています。
 臨床専門研修後は可能な限り大学院へ進学して欲しいと思っていますが、これは常に医学、科学を意識し、リサーチマインドを持って医療を実践して欲しいためです。将来の医学・医療を支えるのはあなた達です。目前の患者様を治療しながら、同時に病態の科学的解明と新しいより有効でより安全な治療法の開発と普及にも携わって欲しいと願っています。

1.名称

弘前大学附属病院「循環器・呼吸器・腎臓内科」後期研修コース

2.研修プログラム

(1)研修目標
 広く内科学の素養を基礎として、循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科の知識・技術を身につけるとともに、科学的思考に基づいた医療を実践できるようになること。

(2)プログラム例
 原則として卒後3年目または4年目を対象とする。以下に代表的プログラムを示すが、いずれにおいても当科の専門分野(循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科)のみでなく、消化器内科や糖尿病代謝内科、神経内科などをコース期間中に一定期間、学内または学外施設においてローテート研修することが望ましい。また、各人が希望する国内短期研修も可能である。(これまでに、成田育代先生が感染症学を学ぶため自治医科大学付属病院感染症科で3ヶ月の研修を修了している。)
<i>大学院進学コース
 1~2年間の循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科、消化器内科、糖尿病代謝内科、神経内科などに関する臨床専門研修後、大学院へ進学し、基礎または臨床研究に従事する(医学博士の学位取得)。修了後は学外施設を含む専門医療施設において、循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科のいずれかに関する高度診療技術を修得する。なお、大学院修了時までに認定内科医を、大学院修了時または修了後2年以内に以下の各学会認定専門医の資格を取得することが可能である。
<ii>臨床専門研修コース
 1~2年間の循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科、消化器内科、糖尿病代謝内科、神経内科などに関する専門研修後、希望に応じて学外施設を含む専門医療施設において循環器内科、呼吸器内科、腎臓内科のいずれかに関する高度診療技術を修得する。修了後、大学院進学コースを選択することも可能である。学会認定医、専門医は大学院進学コースとほぼ同様である。

(3)取得できる資格
日本内科学会認定内科医、日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本インターベンション学会認定医・指導医、日本呼吸器学会専門医、日本呼吸器内視鏡専門医、日本腎臓学会専門医、日本透析医学会専門医、超音波専門医など

(4)経験できる症例・手技
 以下に代表的なものを挙げるが、当科では多数の症例をより安全に、より確実に診療するために、ほとんどの疾患にクリニカルパスを導入している。従ってパス診療とその効果についても学ぶことができる。
<i>循環器内科
 急性心筋梗塞をはじめとした虚血性心疾患、不整脈、心不全、その他、弁膜症、心筋疾患など幅広く経験できる。また手技としては心臓カテーテル検査および経皮的冠動脈形成術(PCI)、カテーテルアブレーション、ペースメーカー植え込み術、除細動器植込み術、心臓再同期療法(両室ペーシング)などを多数経験できる。なお、いずれも国立大学附属病院では屈指の症例数を誇り、とくに急性心筋梗塞例は年間に約140名が救急搬送され、救急管理・処置、PCI、合併症の管理など、循環器内科の核心を多く学ぶことができる。
<ii>呼吸器内科
 症例としては肺癌を中心に化学療法について学ぶことができる。また気管支喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの管理も学ぶことができる。手技としては気管支鏡検査を多数経験できる。
<iii>腎臓内科
 原発性ネフローゼ症候群、IgA腎症、ループス腎炎、慢性腎不全の透析導入症例、生体腎移植の管理などを経験できる。手技としては、腎生検、血液透析を始めとする血液浄化療法、腹膜透析などについて学ぶことができる。

(5)プログラムの特徴
 各自の希望により大学院コース、臨床専門研修コースを選択できる。豊富な臨床経験と優れた高度診療技術を有するスタッフが多数在籍しており、プロの内科医の養成を目指して指導に当たっている。研究スタッフも充実しており、各分野でインパクトファクターの高い英文雑誌への論文掲載が期待出来る。
 臨床専門研修においては、青森県内では当科でしか習得できない循環器・呼吸器・腎臓分野の手技も多数あり、それぞれの専門医資格の習得にも最適である。幅広い内科学の専門研修を目的として、学内、学外施設の内科部門での一定期間のローテート研修も可能である。なお大学院進学は原則として社会人入学とし、附属病院または学外施設で常勤医、非常勤医として勤務しながら研究に従事するものとする。希望によっては通常入学も可能である

3.研修実績

(1) 後期研修コース開始者数:2004年4月に医師臨床研修制度が必修化された。過去6年間当科で後期研修を開始した医師数を記載する。

新規後期研修医数

(2)ローテーションスケジュール(例):後期研修1?2年次はローテーションスケジュールにより、内科各分野や救急などの臨床に必要な多面的な知識と技能の獲得を目指す。下記に示すように、各人の希望により選択診療科・選択期間ともに調整が可能である。ローテーションスケジュールに関しては、研修開始後に柔軟に決定していくことも可能である。
ローテーションスケジュール(例)

4.当科における主な検査ならびに治療

(1)循環器内科
○ 心臓カテーテル検査
○ 冠動脈インターベンション
○ 末梢血管インターベンション
○ 頸動脈インターベンション
○ 構造的心疾患(SHD)治療

○ 電気生理学検査
○ カテーテルアブレーション
○ 心房細動アブレーション
○ ペースメーカ埋め込み術
○ 植込み型除細動器埋め込み術
○ 心臓再同期療法

○ 経胸壁心エコー検査
○ 経食道心エコー検査
○ 運動負荷心電図検査
○ 心臓CT、MRI検査

(2)呼吸器内科
○ 気管支鏡検査
○ 超音波ガイド下経気管支生検
○ 気管支レーザー治療、ステント挿入術
○ 気管支肺胞洗浄
○ 肺癌化学療法 入院・外来

(3)腎臓内科
○ 腎生検
○ 内シャント造設術
○ 腹膜透析カテーテル挿入術
○ 血液浄化療法

(4)主な研究分野
循環器領域
○ 冠攣縮性狭心症の病態に関する研究
○ 新規血管収縮物質coupling factor 6と高血圧との関連
○ 梗塞後心室リモデリングの病態に関する研究
○ 冠動脈形成術後再狭窄の予防に関する研究
○ 不整脈の病態に関する研究
呼吸器領域
○ 気道上皮細胞を用いた気道炎症の病態解析
○ 肺癌の組織標本を用いた癌の進行の病態解析
腎臓領域
○ ヒト培養糸球体上皮細胞を用いた腎炎の病態解析
○ 腎疾患と脂肪酸代謝についての基礎的・臨床的検討

5.関連研修施設情報

・青森県立中央病院循環器科(腎臓科)・呼吸器内科
・青森市民病院第二内科(循環器、呼吸器)
・八戸市民病院循環器内科・呼吸器内科
・国立弘前病院呼吸器内科
・弘前脳卒中・リハビリテーションセンター
・むつ総合病院第二内科(循環器)
・三沢市立病院循環器科
・西北中央病院第二内科(循環器・呼吸器)
・大館市立総合病院第一内科(循環器・呼吸器)
・岩手県立磐井病院循環器科
・新東京病院循環器科
・手稲渓仁会病院 (救急科)など

6. 研修希望者へのメッセージ

○研修責任者から
 当科のシニアレジデントコースの特徴としては、プライマリーケアから重症疾患まで症例数が豊富であり、様々な手技が直接体験・習得できることです。循環器の心臓カテーテル検査においては国内でも有数の検査数をこなしており、研修でも他施設と比較にならないほど多くの症例を経験することが可能です。呼吸器の気管支鏡検査や腎生検、血液浄化療法に関しても同様であり、循環器・呼吸器・腎臓専門医を目指した研修には最適と思われます。

○後期研修医から
 各臓器専門医としてのみではなく、総合内科医としての基礎を築きたいという思いから当科での後期研修を開始することに決めました。2,3ヶ月ごとにローテーションを繰り返すだけでは初期研修の繰り返しと思われる方も多いかもしれません。しかし2年間の後期研修期間を過ごしてみると、初期研修医の時に見えていたものと後期研修医として、主治医として診る患者さんや疾患の全体像は違うことに気づきます。たしかに、各内科の全てを学ぶことはできませんが、この2年間で培った各科のエッセンスが私の今後の循環器内科医としての大きな土台となることは間違いありません。共に内科医として歩む皆さんと会えるのを楽しみにしています。



研修医募集

令和3年度弘前大学医学部附属病院

【お問い合わせ】

循環器腎臓内科学講座 担当:佐々木 真吾
(TEL:0172-39-5057 講座受付 9:00~17:00)

呼吸器内科学講座   担当:當麻 景章
(TEL:0172-39-5468)

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