弘前大学医学部産科婦人科学教室は、昭和20年4月に古賀康八郎初代教授のもとに創設された長い歴史を有する教室で、これまでに180余名の医師が在籍し、県内はもちろん全国に優れた産婦人科医を輩出してきました。昭和33年から品川信良教授に、また昭和63年に齋藤良治教授に引き継がれ、平成13年8月から私が担当しています。産婦人科は周産期医学、婦人科腫瘍学および生殖医学に専門化されております。弘前大学医学部産婦人科でもこれらの3部門が有効に機能し、東北北部における産婦人科医療の核としての役割を十分に果たしております。
私は生殖医学に興味を覚え、臨床的には月経異常、排卵障害、不妊症などを専門として参りました。最近では更年期障害、老年期障害などから女性の生活の質、すなわちQOLをどのように維持していくかという点に関心が移り、女性が健康な一生を過ごせるためにはそれぞれの年令における疾患をどう取り扱うべきかを女性の最終局面から逆に眺めるようになりました。そして、症例は一例ごとに異なるものであり医療内容も症例ごとに異なるべきであるという当たり前のことを実感として再認識しております。また、真の専門家は自分の専門を通して患者の一生を診れる者だと思うようにもなっております。言うまでもなく医師は自己の専門性を高めるために、より高度な技術の獲得をめざして日々研鑽しなければなりません。エビデンスに基づいたスタンダードな医療技術の修得は基本中の基本であります。しかし、私はそれに止まることなくさらにその向こうにある医療をめざして、産婦人科の3つの骨格である周産期医学、婦人科腫瘍学および生殖医学の専門性を高めると同時に、それぞれを有機的に統合した女性医学の確立を本教室の基本目標にしたいと考えています。
平成16年度より卒後臨床研修システムにスーパー・ローテーションが取り入れられ、従来の入局制とは様変わりすることになっております。この点に関して弘前大では医学部が一体となって新制度の確立に取り組んでおり、きっと満足できるシステムが供給できるでしょう。産婦人科におきましても、教室スタッフが一丸となって教育研修システムの改善を目指して準備しております。具体的には各自の目的に合致できるよう必須項目を盛り込んだ複数のプログラムを用意し、それぞれのプログラムにおいて達成度を評価できるようにしたいと考えております。また、優れた臨床を行うためには優れた基礎医学の知識が必要です。これまでに当教室が培った臨床病理や生理の知識を背景にして、自分で考え実践できる医師の養成を目指します。



