選択研修って?

産婦人科専門医を取得した後に,さらに専門性を高めた学会の認定医,専門医,指導医などの資格を得るための研修です。研修とはいっても,上級医の下で指導を受けながら研修する卒後臨床研修や専門研修とは異なり,臨床と研究の両面における自主的な経験の積み重ねが必要で,一定期間の研修で誰でも取得できるという類の資格ではありません。

産婦人科領域には以下のような専門医制度があります。

産婦人科選択研修

これらのうち,周産期専門医,婦人科腫瘍専門医,生殖医療指導医の認定・更新には,多くの臨床経験,コンスタントな研究報告 (学会報告や学術論文),難易度の高い試験が課せられており,かなりハードルが高いものです。サブスペシャリティとして産科を専攻したら母体胎児専門医の,腫瘍を専攻したら婦人科腫瘍専門医の,不妊を専攻したら生殖医療指導医の申請資格をそれぞれ得るチャンスがあります。この3つの専門医については,複数の専門医認定を取得,維持するのはほぼ不可能といってよいでしょう。一方,内視鏡技術認定医,細胞診専門医などは,どの領域をサブスペシャリティとしていても,本人の熱意と努力次第で取得可能と思われます。

私たちの教室では,それぞれの分野の専門医や指導医が選択研修を希望する方の専門的な知識や技術の修得をバックアップできる体制が整っており,高度な専門性を目指した研修をあまねく行えます。

以下に,これらの専門医制度のアウトラインを紹介します。詳細は,各認定学会のホームページなどをご覧ください。

日本周産期新生児学会周産期専門医

obstetrician

周産期専門医は周産期新生児学会によって認定され,特殊かつ高度な周産期医療の知識と技能を備えたエキスパートです。周産期専門医制度の目的は。優れた知識と錬磨された技能を備えた周産期医療の臨床医を社会に送ることにより,我が国の妊産婦,胎児及び新生児がより高い水準の医学・医療の恩恵を受けることを可能とし,それによって社会の福祉に貢献することです。周産期専門医は,周産期医療に従事する医師の水準を高め,高度な医学知識と技能によって他の医師に適切な指示を与えることのできる臨床能力を有することが必要とされます。 周産期専門医には産婦人科が担当する母体・胎児専門医 (perinatal obstetrician) と小児科が担当する新生児専門医 (neonatologist) の2種類があります。母体・胎児専門医については,青森県の基幹研修部署は県立中央病院の総合周産期母子医療センターMFICU (暫定指導医:佐藤秀平) で,指定施設は国立弘前病院 (暫定指導医:尾崎浩士) と青森市民病院 (暫定指導医:橋本哲司) が認定されており,後進の指導に当っています。

受験資格
  • 日本国医師免許を有する
  • 日本産科婦人科学会,日本小児科学会,日本小児外科学会のいずれかの専門医
  • 受験時3年以上継続して本学会会員で会費を完納
  • 上記の専門医資格を取得後,基幹研修施設において6か月間以上の臨床研修を修了し,所定の臨床経験を有する
  • 本学会が認める周産期医学,周産期医療に関連する学術論文1編以上を筆頭著者として査読制度のある雑誌に発表
  • 本学会が認める周産期医学関連学会に所定の回数参加し,かつ筆頭演者として発表
  • 研修の届出を行い,所定の研修報告書を毎年提出
  • 資格認定試験 (筆答試験,小論文,口答試験,研修症例報告書等の審査) に合格
※国外での研修については審査の上,臨床経験として考慮

申請書類
  • 申請書
  • 履歴書
  • 医師免許証 (写)
  • 日本産科婦人科学会,日本小児科学会,日本小児外科学会のいずれかの専門医認定証 (写)
  • 研修記録簿と20症例 (うち10例は指定症例から重複しないよう選択) の症例要約簿
  • 指導医による研修医の研修評価記録簿
  • 研修医による指導医についての指導評価記録簿
  • 業績目録と刊行論文別刷
  • 学術集会参加記録簿
  • 受験料 (30,000円)
認定更新
認定日から5年を経たら必要で,下記条件すべてを充たしていること
  • 通算5年間,専門医資格に該当する周産期医療に従事
  • 本学会学術集会および本学会が認める周産期医学・新生児学関連学会または研究会の学術集会,研修会に参加し,所定の研修単位を取得
  • 学会において通算5年間に共同演者も含み発表回数が10回以上
  • 周産期医学・新生児学関連の学術論文を通算5年間に共著も含み5編以上,本学会が認める査読制度のある学術雑誌に発表
  • 資格更新試験 (筆答試験) に合格

日本周産期新生児学会周産期専門医制度ホームページ

日本婦人科腫瘍学会専門医

gynecologist

婦人科腫瘍専門医は,高い専門知識が求められる婦人科癌治療のスペシャリストです。日本婦人科腫瘍学会により婦人科腫瘍に関する十分な専門的知識と技量を有する医師の育成と資格認定が行われ,女性性器がんの予防,診断,治療等を包括的に行い,女性の健康管理・増進に寄与することを目的としています。平成17年から指定修練施設における修練が始まり,規程の修練を終えた修練医が平成18年度から専門医試験を受験しています。私たちの教室では横山良仁と二神真行 (弘前大学) が専門医に認定され,水沼英樹教授と佐藤重美 (むつ総合病院) が暫定指導医として専門医の受験資格を持っています。

審査と認定
  • 専門医申請書類書類を提出
  • 手数料 10,000円)を納付
  • 試験 (筆記試験および口頭試問)
臨床修練の診療実績、業績および研修実績
  • 診療経験:指定修練施設における通算3年以上5年までの診療実績一覧表
    • 婦人科浸潤がん症例 (手術、放射線治療、化学療法などを含む) を150例以上経験
    • 浸潤がんの執刀30例以上 (うち15例以上は広汎子宮全摘出術の執刀)、第一助手30例、その他助手40例を含め100例以上
    • 消化器外科と泌尿器科の経験症例を診療実績一覧表に記入
    • 関連施設 (専門医または暫定指導医が常勤する指定修練施設) で経験した症例を加算可
  • 業績:婦人科腫瘍に関する筆頭者としての研究発表2件以上(論文1編を含む)
  • 研修実績:修練ガイドラインにそって5年間以上の研修を受け、修練期間中に本会総会および教育プログラムに年1回以上出席
認定更新
  • 過去5年間の診療実績一覧表
  • 本会総会または教育プログラムに3回以上出席したことを証明する証書
  • 認定料40,000円

日本婦人科腫瘍学会ホームページ

日本生殖医学会生殖医療指導医

reproduction

生殖医療指導医は,日本生殖医学会によって認定されるもので,体外受精や顕微授精等の高度生殖医療の普及など,進展が著しい生殖医療に関する高度な知識と技術,さらに 高い倫理観を有する専門医です。国内外の現在の生殖医療のレベルと本邦おける生殖医療の現状の分析・検討から,生殖医療指導医として備えおくべき標準的な知識や技術の到達目標が設定されています。認定試験は,この到達目標と「新しい生殖医療技術のガイドライン」に準じて実施されています。私たちの教室では水沼英樹教授,福井淳史 (弘前大学),藤井俊策 (むつ総合病院) の3名が認定されています。

申請条件
  • 会員歴が通算5年以上
  • 産婦人科専門医あるいは泌尿器科専門医認定後3年以上の生殖医療の臨床経験
  • 生殖医療に関する論文が10編以上 (うち主著2編以上)
  • 学会発表が10題以上 (うち筆頭2題以上)
  • 生殖医療指導者としての適切な知識,品位,高い倫理性
  • 生殖医療指導医または学会役員2名の推薦
提出書類
  • 認定試験申込書
  • 代表的論文10編リスト (うち2編は主著)
  • 主著2編の別冊と共著8編の抄録を含む第1ページのコピー
  • 代表的学会発表10編リスト
  • 症例報告書 (推薦者2名の署名入り)
  • 医師免許証 (写)
  • 産婦人科あるいは泌尿器科専門医認定証 (写)
  • 申込書類受領ハガキ
審査方法
  • 書類審査
  • 筆記試験および口答試問
  • 講習会参加費10,000円+受験料20,000円 (推薦者2名の署名入り)
  • 医師免許証 (写)
  • 産婦人科あるいは泌尿器科専門医認定証 (写)
  • 申込書類受領ハガキ
認定更新
  • 5年間本会会員で更新申請時に会費を完納
  • 指定する学会での研修 (点数制) で5年間で150点以上
    点数学会名
    30点
    生殖医療従事者講習会 (5年間で3回以上出席義務)
    10点
    日本生殖医学会、日本産科婦人科学会、日本泌尿器科学会、RMB 研究会シンポジウム、ASRM、ESHRE、IFFS、国際体外受精会議、世界ヒト生殖会議
    5点
    日本生殖医学会支部会、日本受精着床学会、日本生殖内分泌学会、日本生殖免疫学会、日本アンドロロジー学会、日本哺乳動物卵子学会、日本産科婦人科内視鏡学会、その他の生殖医療関連の国際学会
  • 生殖医療従事者講習会に5年間で3回以上出席
  • 5年間の履歴 (勤務状態、研究業績、指導成果など) を申告

日本生殖医学会ホームページ

日本産科婦人科内視鏡学会内視鏡技術認定医

endoscopist

内視鏡下手術は閉鎖空間で繊細な機器を用いて行われ,高度な技術が求められます。産婦人科では腹腔鏡,子宮鏡,卵管鏡など多彩な内視鏡下手術が行われています。内視鏡手術機器の進歩は著しく,低侵襲手術を求める社会的な要望の高まりとともに,適応は拡大しています。日本産科婦人科内視鏡学会による技術認定医制度の目的は,産婦人科領域における内視鏡下手術に携わる医師の技術と知識を評価し、内視鏡下手術を安全かつ円滑に施行する者を認定し,本邦産婦人科領域における内視鏡下手術の発展と普及を促し,さらには国民の健康維持に寄与することです。私たちの教室では福井淳史 (弘前大学) と藤井俊策 (むつ総合病院) の2名が認定されています。

申請要件
  • 継続3年以上本学会会員
  • 日本産科婦人科学会専門医取得以後、通算2年以上の産婦人科内視鏡下手術の修練
  • 術者として100例以上の内視鏡下手術経験 (日本内視鏡外科学会へ認定申請を行う場合には子宮鏡、卵管鏡の症例数を差し引いて提出)
  • 産婦人科内視鏡下手術に関係する学会、研究会等に複数回出席
  • 筆頭演者として国内外の学会で内視鏡に関する発表5題以上
  • 国内外において5題以上 (内1題は筆頭著者) の内視鏡に関する論文
申請方法
  • 技術認定申請書
  • 履歴書
  • 日本産科婦人科学会専門医認定証 (写)
  • 産婦人科内視鏡下手術の手術実績一覧表 (様式は別に定める)
  • 業績目録 (抄録および別刷のコピー)
  • 6か月以内に行った内視鏡下手術の未編集DVD1枚 (自分で企画、遂行したもので術式は不問)
  • 手数料30,000円
  • 申請期間は毎年2月1日より2月末日まで
審査方法
技術審査委員が申請書類およびDVDから技量を審査
技術認定資格更新
技術認定資格は5年ごとに更新が必要で、下記を提出
  • 最近5年間継続して臨床に従事していることの証明書類
  • 最近5年間に行った内視鏡下手術100例以上の手術実績一覧表
  • 産婦人科内視鏡下手術に関係する学会、研究会等に複数回出席
  • 更新申請書類と更新手数料 (20,000円)
  • 6か月以内に行った内視鏡下手術の未編集DVD1枚 (自分で企画、遂行したもので術式は不問)

日本産科婦人科内視鏡学会技術認定制度ホームページ

日本臨床細胞学会細胞診専門医

cytologist

細胞診専門医は,日本臨床細胞学会によって認定される細胞診診断のスペシャリストです。産婦人科領域における細胞診は,特に婦人科癌のスクリーニングや診断に必須の検査です。細胞診専門医の認定は昭和43 (1968) 年から始まり,最も歴史のある認定制度で,細胞診によるがん検診 (子宮がん,肺がん) を担っています。また,細胞診専門医には,細胞診断の国際免許の受験資格が与えられます。受験には,医師資格取得後5年以上,細胞診断学ならびに細胞病理学に関する論文3編以上などの条件を満たすことが必要です。認定試験はカラープリントによる筆記試験に加え,実際の細胞診標本による検鏡試験によって行われます。私たちの教室では二神真行 (弘前大学),佐藤重美 (むつ総合病院),工藤香里 (青森市民病院) が認定されています。

細胞診専門医の責務
  • 日本臨床細胞学会,同都道府県支部および日本細胞診断学推進協会の会員
  • 4年間8回の細胞診専門医会総会のうち3回以上出席
  • 積極的に細胞診業務に従事し,診断を行う義務
  • 細胞検査士が判定した細胞診標本の診断を行いながら指導・教育を行っている場合,細胞検査士が判定した細胞診標本に責任を持つ.責任とは,細胞診専門医が関係する細胞検査士が誤判定等を行った場合,関係する細胞検査士の細胞診断能力向上や維持に対する道義的責任である.
  • 細胞診断学を学ぶ医師および歯科医師,細胞検査士および臨床検査技師の教育・指導に積極的に関与
  • 学会が主催するセミナーや公開カンファレンスの出席を依頼された場合,出席の義務

日本臨床細胞学会ホームページ

更年期医学会認定医

更年期医学会が,医師および医療従事者,更年期医療分野で活動する方を更年期の分野における専門家として基本的知識と技能を認定する制度です。私たちの教室では水沼英樹教授と樋口毅 (弘前大学) の2名が認定されています。

日本更年期医学会ホームページ

臨床遺伝専門医

遺伝医学の重要性はますます高まっています。臨床遺伝専門医は遺伝子に関係した問題の解決を担い,適切な遺伝医療を実行する医師です。遺伝医学についての知識,経験ならびに研究業績を有し,遺伝学的検査・診断・治療,カウンセリング,教育を行う能力を要求されます。学会に入会するのでさえ推薦状が必要という非常に敷居が高い学会で,専門医の取得も難しいです。残念ながら,私たちの教室には専門医がおりませんが,学会員はおりますので,取得をめざす方をサポートします。

日本人類遺伝学会ホームページ

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