医学生のみなさんへ

これから眼科学を学習する医学生諸君へのメッセージ

写真:臨床研究棟
臨床研究棟
写真:手術風景
手術風景

諸君は眼科学をどのようにイメージしていますか。

眼科は眼鏡やコンタクトレンズを合わせに行くところであるとか、目や瞼が赤くなって炎症を起こしたら行くところのようにイメージしている人も多いことでしょう。一般的に眼の病気により命を落とすことは稀です。

つまり眼の病気により生物学的な死を迎える人は極めて少ないと言えます。

しかし、よく考えてみて下さい。

諸君がもし両眼性の病気になって極端に視力や視野に障害をきたして殆ど失明状態になってしまったらどう感じるでしょうか。将来の職業はどうなるのでしょうか。医師を目指している者が医師になれないとしたらいったい何をして暮らしていったらいいのでしょうか(実際には視覚障害者でも医師免許は取得できるようになりましたが、それでも職業の選択は狭まるでしょう)。

眼科の臨床の現場ではそのようなことが形を変えて、実際に自分の目の前の患者に起こることもあります。自分の目の前の患者がすでにそのような不治の病気を抱えてしまっていたら、どう対応したらいいと考えますか。

このように視覚障害は生物学的な死こそ招来しませんが、その人の社会生活や人間としての活動に大変なハンディを負わせることになります。場合によっては人格的な死をも意味することもあります。視覚障害者の多くが一度は自殺を考えるのは、眼が見えないままで生きていかなければならないなら、いっそ死んでしまった方がよいと考えるからであり、これは人格的な死よりもむしろ生物学的な死の方がまだましだという考えからです。それほど人格的な死とは人間にとって恐ろしいことなのです。

眼科学はこのような分野を扱う臨床医学であり、その中には眼に関する内科と外科の両方を治療手段として含みます。実際に外来患者数も手術件数もともに病院の中ではかなり多い臨床科です。

眼科学は眼を通してその人の人生の営みを知る学問

よく眼科を「眼だけ見て全身を見ていない」と揶揄する人がいます。その人は眼科学の表面しか見ていない人です。もしその人が医師であるなら、その人は学生時代に眼科学の学習が不十分だったことを自らの口で証明しているのです。眼科学は眼を通してその人の人生の営みを知る学問でもあります。そう考えると眼科は間口は狭いけれども奥が深い分野であることが次第に解るはずです。

医師としての一生をかけるに十分

弘前大学医学部眼科で私たちが準備した眼科学の講義と実習のプログラムを通してこのような学問に諸君は接することになります。眼科学は中枢神経系と末梢神経系が高度にかつ複雑に構築された眼球という感覚臓器を扱う臨床分野であり、一見小さい臓器のように感じますが、そこにも医師としての一生をかけるに十分な難解な病気が数多く存在します。

このような眼科学に対峙して多くの医学生が眼科学は難解だと感じてしまうようです。しかし、あせらずに考えて欲しいと思います。私は諸君に物事の表面だけを見て全体を判断してしまうような早計な人間になって欲しくないからです。

2009年4月1日
弘前大学医学部眼科学講座教授
中澤満

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授業計画

4年次学生:眼科学講義(R3年度前期)

授業科目名 眼科学 対象学生 4年次
時間割コード 記入不要 学期・単位数 前期・1単位
担当代表教員 中澤 満 開講曜日・時限 月曜日・5〜6時限
シラバス作成者 中澤 満    

授業の概要

眼科学入門に相当する講義を行う。毎回小テストを行い、講義内容の理解を促す。あらかじめ眼球の解剖について復習しておくことが望ましい。眼科顕微鏡手術に関しては可能な限り手術動画を供覧し、学生の理解を助ける。

授業計画・内容・到達目標

  開講月日 講義内容・具体的到達目標等 担当教員
1 4/5(月) 眼科学総論、屈折と調節
近視、遠視、乱視、老視、弱視とは何かについて理解する。
中澤 満
3 4/12(月) 外眼部疾患と結膜炎
結膜に起こる炎症とはいかなるものかについて理解を深める。その原因や発症機構から診断や治療を考える。その他のよくみる外眼部疾患についても理解を深める。
中澤 満
2 4/19(月) 白内障
白内障とはどのような病気か、またその代表的な手術法について理解する。
中澤 満
4 4/26(月) 角膜疾患と涙液
角膜の機能とそこに起こる病気、涙液の機能と異常について理解する。角膜移植手術についても紹介する。
中澤 満
5 5/10(月) 神経眼科1 求心路
視神経乳頭および視神経疾患に起こる病気について理解するとともに、各種中枢神経障害にともなう視野障害の特徴についてその原理とともに理解する。
中澤 満
6 5/17(月) 神経眼科2 遠心路
瞳孔反射とその異常、眼球運動とその異常について理解するとともに斜視と弱視の基本について理解する。
中澤 満
7 5/24(月) 緑内障1 各種原発緑内障
緑内障とはどのような病気なのかについて、その多様性とともに理解する。原発緑内障の各種病型を理解する。
中澤 満
8 5/31(月) 緑内障2 各種続発緑内障、緑内障治療
代表的な続発緑内障について理解を深める。一般的な緑内障治療法について薬物治療と手術治療の両面から理解する。
中澤 満
9 6/7(月) 網膜剥離
網膜剥離の定義を理解する。そして裂孔原性網膜剥離とはどのような病気なのか、どのような手術を行うのかについて理解する。
齋藤昌晃
10 6/14(月) 眼循環障害とくに網膜循環障害
高血圧などを基盤として発症する網膜循環障害の各種病型と、高血圧にともなう網膜血管の異常所見の基本を理解する。
中澤 満
11 6/21(月) 糖尿病網膜症
なぜ糖尿病になると網膜病変が発生するのか、その治療はどうするのか、などにつき基本概念を理解する。さらに糖尿病網膜症の各病期について理解する。
中澤 満
12 6/28(月) 黄斑疾患
加齢やストレスによって黄斑部に発症する4つの代表的疾患(黄斑上膜、黄斑円孔、中心性漿液性脈絡網膜症、加齢黄斑変性)について理解する。
齋藤昌晃
13 7/5(月) ぶどう膜炎
眼内炎症性疾患とくにサルコイドーシス、原田病、ベーチェット病の三大ぶどう膜炎を中心に眼内炎症性疾患とは何かを理解する。
中澤 満
14 7/12(月) 網網膜色素変性と類縁疾患
網膜色素変性に代表される遺伝性網膜変性疾患の発症に関わる分子遺伝学と臨床ならびに視細胞保護、再生医療および人工視覚などの最先端の治療研究について理解する。
中澤 満
15 7/19(月) 眼科腫瘍性疾患
網膜芽細胞腫やぶどう膜悪性黒色腫に代表される眼内腫瘍および眼窩腫瘍や結膜、眼瞼腫瘍などに代表される眼外腫瘍の基本を解説する。
中澤 満
16 7/26(月) 眼外傷と眼科救急疾患
齋藤昌晃

教材・教科書

中澤 満、村上 晶 編集、「標準眼科学」第14版、医学書院
数ある眼科学教科書のうちで内容的に最も優れている。3年ごとに改訂して最新の内容を要領よく網羅するように配慮されている。

参考文献

とくになし

成績評価の方法・採点基準

毎回の小テストでは講義内容の理解を促すとともに出席が確認される。学則により期末試験の受験には2/3以上の出席が必要とされている。期末試験は最終日に予定している。60%以上の正解者には単位を認定する。

授業形式・形態および授業方法

板書、パワーポイント、手術ビデオなどを用いた講義を行う。当日のパワーポイント画像はできるだけコピー(モノクロ)をして学生に配布するほか、PDF版を眼科担当委員に配布するのでカラーでの画像閲覧を希望する学生は各自コピーすることができる。過去の眼科試験問題は同じくPDF版として可能な限り公開するので参考にするように努められたい。

留意点・予備知識・準備学習(予習・復習)等の内容と分量

眼鏡やコンタクトレンズまたは結膜炎などで眼科を受診した経験のある学生諸君は多いと思うが、眼科が実際に扱う疾患は学生諸君の実体験を大きく越えた多彩かつ広範囲なものであることを講義で理解して欲しい。本シラバスとは別の「眼科学シラバス 2018」を全員に配布するので講義内容の予習、復習をはじめ定期試験対策、実習対策、国試対策などに活用されたい。

オフィスアワー

担当代表教員・シラバス作成者:中澤 満、毎週火曜日午後4時~6時

その他

カリキュラムの都合上、眼底検査、眼圧検査、眼底撮影、視力検査などの検査法は講義ではまとめては取り上げず、臨床実習にて解説し、実際にその手技を習得させる。

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5年次学生:眼科学臨床実習(BSL)週間スケジュール

第1週

  午前 午後
月曜日 眼科学実習ガイダンス、眼科診察法、屈折検査、視力検査、眼圧検査、前眼部診察法 眼底造影検査見学、散瞳後眼底検査実習
火曜日 術後回診、新患外来実習 病棟実習、講義(硝子体手術)
水曜日 眼科手術学講義、手術見学実習 手術見学実習
木曜日 術後回診、手術見学実習 術前回診、症例検討、総回診、蛍光眼底読影、抄読会、研究会
金曜日 術後回診、新患外来実習 手術見学実習

第2週

  午前 午後
月曜日 屈折・斜視・弱視外来見学実習 眼科各種検査説明(視野、OCT,網膜電図)、散瞳後眼底検査実習
火曜日 術後回診、新患外来実習 病棟実習、講義(緑内障)
水曜日 角膜移植講義、眼科学査問 手術見学実習
木曜日 術後回診、手術見学実習 術前回診、症例検討、総回診、蛍光眼底読影、抄読会、研究会
金曜日 術後回診、新患外来実習 手術見学実習、レポート作成

注)実習初日の月曜日は午前8時30分までに第2病棟7階眼科カンファランス室に集合のこと。月曜日が休日の際は翌火曜日午前8時20分に眼科外来カンファランス室に集合とします。毎週月曜日の午後は各自散瞳して眼底検査を行います。スケジュールは各担当教員や臨時手術などの都合で変更となることがあります。

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眼科BSLの手引きと眼科BSLレポート作成状の注意点

眼科BSLの目的

  1. 眼科の診療現場(入院診療、手術、外来診療)がどのようなものであるかを体験する。
  2. 眼科における基本的な検査手技(屈折、細隙灯、眼圧検査、眼底検査)を習得する。視野、隅角、超音波検査、網膜電図についても実際に見て理解を深める。
  3. 初期クリニカルクラークシップの一環と見なして診療活動に参加させる。
  4. 臨床医として必要な症例報告の書類作成ならびに口頭でのプレゼンテーション、質疑応答を行う。

注意点

使い捨てではないソフトコンタクトレンズを使用している学生は散瞳薬点眼時に一時的にコンタクトレンズをはずすので容器を持参することが望ましい。

眼科BSLレポート作成要項

  1. BSLレポートはワープロ使用を原則とするが、それが不可能な場合は丁寧な楷書体による手書きとする。
  2. 受け持ち患者について、病歴、所見、経過を簡単にまとめる。
  3. 眼科BSLを体験して感じた点を感想としてまとめる。良かった点、改善して欲しい点など忌憚のない意見が望まれる。内容については一切評価とは関係しない。

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6年次学生:高次臨床実習(クリニカルクラークシップ、高次BSL)の手引き

眼科クリニカルクラークシップの目的

  1. 5年次で経験した眼科BSLの期間を延長した形とし、その間に眼科の診療器具を安定して使いこなせるようになること。とくに直像検眼鏡ばかりでなく倒像検眼鏡の使用方法にも習熟する。
  2. 自分の担当した患者の病態を5年次BSL以上に深く理解し、その理解の上にたったプレゼンテーションを総回診などで修練する。
  3. 眼科診療チームの一番下のレベルに位置して、指導医とともに行動する。病棟担当グループのグループカンファレンスに参加する。

眼科クリニカルクラークシップの評価

  1. 日々の診療で行動をともにした指導医の直接の観察に基づいて評価する。
  2. 最終週に自分が担当した患者の症例報告を教室員全員の前で行い、プレゼンテーション後に質疑応答を行う。

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眼科教室説明会(豚眼を用いた白内障手術体験)のお知らせ

場所:医学部コミュニケーションセンター(MCC)

日時:2021年8月21日(土)16:00〜19:00頃

眼科学講座連絡先

Tel:0172-39-5095

Mail:

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