医学生のみなさんへ
- これから眼科学を学習する医学生諸君へのメッセージ [▼]
- 授業計画/4年次学生:眼科学講義(H23年度前期) [▼]
- 授業計画/5年次学生:眼科学臨床実習(BSL)週間スケジュール [▼]
- 眼科BSLの手引きと眼科BSLレポート作成状の注意点 [▼]
- 授業計画/6年次学生:高次臨床実習(クリニカルクラークシップ、高次BSL) [▼]
- 弘前大学眼科セミナーなど各種眼科セミナーへの参加 [▼]
これから眼科学を学習する医学生諸君へのメッセージ

臨床研究棟

手術風景
諸君は眼科学をどのようにイメージしていますか。
眼科は眼鏡やコンタクトレンズを合わせに行くところであるとか、目や瞼が赤くなって炎症を起こしたら行くところのようにイメージしている人も多いことでしょう。一般的に眼の病気により命を落とすことは稀です。
つまり眼の病気により生物学的な死を迎える人は極めて少ないと言えます。
しかし、よく考えてみて下さい。
諸君がもし両眼性の病気になって極端に視力や視野に障害をきたして殆ど失明状態になってしまったらどう感じるでしょうか。将来の職業はどうなるのでしょうか。医師を目指している者が医師になれないとしたらいったい何をして暮らしていったらいいのでしょうか(実際には視覚障害者でも医師免許は取得できるようになりましたが、それでも職業の選択は狭まるでしょう)。
眼科の臨床の現場ではそのようなことが形を変えて、実際に自分の目の前の患者に起こることもあります。自分の目の前の患者がすでにそのような不治の病気を抱えてしまっていたら、どう対応したらいいと考えますか。
このように視覚障害は生物学的な死こそ招来しませんが、その人の社会生活や人間としての活動に大変なハンディを負わせることになります。場合によっては人格的な死をも意味することもあります。視覚障害者の多くが一度は自殺を考えるのは、眼が見えないままで生きていかなければならないなら、いっそ死んでしまった方がよいと考えるからであり、これは人格的な死よりもむしろ生物学的な死の方がまだましだという考えからです。それほど人格的な死とは人間にとって恐ろしいことなのです。
眼科学はこのような分野を扱う臨床医学であり、その中には眼に関する内科と外科の両方を治療手段として含みます。実際に外来患者数も手術件数もともに病院の中ではかなり多い臨床科です。
眼科学は眼を通してその人の人生の営みを知る学問
よく眼科を「眼だけ見て全身を見ていない」と揶揄する人がいます。その人は眼科学の表面しか見ていない人です。もしその人が医師であるなら、その人は学生時代に眼科学の学習が不十分だったことを自らの口で証明しているのです。眼科学は眼を通してその人の人生の営みを知る学問でもあります。そう考えると眼科は間口は狭いけれども奥が深い分野であることが次第に解るはずです。
医師としての一生をかけるに十分
弘前大学医学部眼科で私たちが準備した眼科学の講義と実習のプログラムを通してこのような学問に諸君は接することになります。眼科学は中枢神経系と末梢神経系が高度にかつ複雑に構築された眼球という感覚臓器を扱う臨床分野であり、一見小さい臓器のように感じますが、そこにも医師としての一生をかけるに十分な難解な病気が数多く存在します。
このような眼科学に対峙して多くの医学生が眼科学は難解だと感じてしまうようです。しかし、あせらずに考えて欲しいと思います。私は諸君に物事の表面だけを見て全体を判断してしまうような早計な人間になって欲しくないからです。
2009年4月1日
弘前大学医学部眼科学講座教授
中澤満
授業計画
4年次学生:眼科学講義(H23年度前期)
| 授業科目名 | 感覚器と疾患(眼科疾患) | 対象学生 | 4年次 |
|---|---|---|---|
| 時間割コード | 30418 | 学期・単位数 | 前期1単位 |
| 担当代表教員 | 中澤 満 | 開講曜日・時限 | 前期・月・7〜8時限 |
| シラバス作成者 | 中澤 満 |
授業の概要
人間は外界の情報を感覚器を通して入手している。感覚器が障害されると基本的な生命活動から高度な精神活動までのあらゆる人間活動が著しく制約を受ける。感覚器系講義ではこのような重要な機能をもつ感覚器官の病的状態を理解させることを目的とし、全2単位のうち視覚器については眼科学講座が前期1単位15回担当する。内容は視覚器の形態および機能とそれらの異常、各種眼科疾患と治療法の基本的な考え方について概説する。あらかじめ視覚器(眼球)の解剖と生理を理解していないと講義内容を理解することは不可能である。毎回小テストを行うので、気力と体力を調整して講義に臨む必要がある。
授業計画・内容・到達目標
| 開講月日 | 講義内容・具体的到達目標等 | 担当教員 | |
|---|---|---|---|
| 1 | 4/11(月) | 眼科学総論・屈折と調節 眼科学とはどのような臨床医学であるかを、眼球の解剖を復習しながら解説する。屈折と調節は眼科の最も基本となる概念で、近視、遠視、乱視、老視および弱視など普段聞き慣れた疾患に対する理解を深める。 |
中澤満 |
| 2 | 4/18(月) | 結膜炎 結膜に起こる炎症とはいかなるものかについて理解を深める。その原因や発症機構から診断や治療を考える。 |
中澤満 |
| 3 | 4/25(月) | 白内障 白内障手術および眼内レンズ移植手術についてビデオ画像を用いて解説する。 |
前田修司 |
| 4 | 5/2(月) | 角膜疾患と涙液 視覚における角膜と涙液の重要性について認識する。角膜炎を中心とする代表的角膜疾患の臨床所見を理解し、診断と治療の要点を解説する。角膜移植手術の適応と実際についても理解する。 |
中澤満 |
| 5 | 5/9(月) | 神経眼科1 うっ血乳頭をはじめ視神経乳頭の各種異常所見、両耳側半盲や同名半盲など各種視野障害と脳の障害部位との関連について理解する。 |
中澤満 |
| 6 | 5/16(月) | 神経眼科2 眼球運動、斜視と弱視 瞳孔反射と眼球運動の基本とそれらの病的状態を理解する。斜視と弱視の基本も解説する。 |
中澤満 |
| 7 | 5/23(月) | 緑内障1 緑内障とはどのような病気なのかを理解する。その理解を助けるために眼圧上昇機構や視神経乳頭での視神経線維傷害機構について解説し、緑内障における視神経傷害のイメージを持たせる。原発緑内障を中心に講義する。 |
中澤満 |
| 8 | 5/30(月) | 緑内障2 各種続発緑内障について解説し緑内障に対する理解を深める。緑内障治療法(薬物と手術)についても理解する。 |
中澤満 |
| 9 | 6/6(月) | 網膜剥離 網膜剥離の基本概念の理解。網膜剥離の原因、裂孔原性網膜剥離の発症機構、種類および治療法について理解する。 |
中澤満 |
| 10 | 6/13(月) | 網膜循環障害 各種の眼底異常所見を網膜循環の観点から理解する。各種網膜動静脈閉塞症を理解する。 |
中澤満 |
| 11 | 6/20(月) | 糖尿病網膜症 なぜ糖尿病になると網膜病変が発生するのか、その治療はどうするのか、などにつき基本概念を理解する。 |
中澤満 |
| 12 | 6/27(月) | 黄斑疾患 黄斑部についてその解剖学的特性を解説する。黄斑部に発生する特殊な疾患とくに加齢黄斑変性を理解することを目的とする。 |
中澤満 |
| 13 | 7/4(月) | ぶどう膜炎(内眼炎) ぶどう膜炎について総論的に講義する。ぶどう膜炎とはどのような病態なのか、どのような所見がみられるかについて理解する。3大ぶどう膜炎を中心に講義する。 |
中澤満 |
| 14 | 7/11(月) | 網膜色素変性 網膜色素変性に代表される遺伝性網膜変性疾患の発症に関わる分子遺伝学と臨床について解説する。 |
中澤満 |
| 15 | 7/25(月) | 眼科腫瘍性疾患 眼外腫瘍および眼内腫瘍の基本を解説する。 |
中澤満 |
教材・教科書
大野重昭 監修、木下茂 中澤満 編集、「標準眼科学」第11版、医学書院
数ある眼科教科書のうちで内容的に最も優れている。医師国家試験対策が付録として収録されている。
参考文献
とくになし
成績評価の方法・採点基準
原則として毎回小テストを行い、それを平常評価とする。最終の筆記試験は画像を中心とした問題を解答させる。両者を合算して全体で100点満点とする。いずれのテストにおいても不正行為は大学の規則による処罰の対象となる。
授業形式・形態および授業方法
板書、パワーポイント、手術ビデォなどを用いた講義を行う。当日のパワーポイント画像はできるだけコピー(モノクロ)をして学生に配布するほか、PDF版を眼科担当委員に配布するのでカラーでの画像閲覧を希望する学生は各自コピーすることができる。
留意点・予備知識等
カリキュラムの都合上、眼底検査、眼圧検査、視力検査などの検査法は講義では取り上げず、臨床実習にて解説し、実際にその手技を習得させる。
5年次学生:眼科学臨床実習(BSL)週間スケジュール
第1週
| 午前 | 午後 | |
|---|---|---|
| 月曜日 | 眼科学実習ガイダンス、視力検査、 眼圧検査、細隙灯顕微鏡、眼底検査 |
眼底造影検査見学 散瞳後眼底検査 |
| 火曜日 | 術後回診、新患外来実習 | 病棟実習、講義(緑内障) |
| 水曜日 | 手術見学 | 光凝固、視野検査 講義(斜視・神経眼科) |
| 木曜日 | 術後回診、手術見学 | 術前症例検討、総回診
FA画像診断、抄読会、研究会 |
| 金曜日 | 術後回診、新患外来実習 | 手術見学、病棟実習 |
第2週
| 午前 | 午後 | |
|---|---|---|
| 月曜日 | 手術見学または病棟実習 | 病棟実習 講義(角膜移植) |
| 火曜日 | 術後回診、新患外来実習(第1週) と同様 | 病棟実習、 講義(硝子体手術) |
| 水曜日 | 査問・学生抄読会 | レポートのための研究時間 |
注)実習初日は午前9時に第2病棟7階眼科カンファランス室へ集合のこと。 スケジュールは担当教員の都合で変更になる場合があります。スケジュールは初日のガイダンスの時に確認して下さい。第1週初日午後は散瞳薬を学生同士で点眼して眼底検査の実習を行う。
眼科BSLの手引きと眼科BSLレポート作成状の注意点
眼科BSLの目的
- 眼科の診療現場(入院診療、手術、外来診療)がどのようなものであるかを体験する。
- 眼科における基本的な検査手技(屈折、細隙灯、眼圧検査、眼底検査)を習得する。視野、隅角、超音波検査、網膜電図についても実際に見て理解を深める。
- 初期クリニカルクラークシップの一環と見なして診療活動に参加させる。
- 臨床医として必要な症例報告の書類作成ならびに口頭でのプレゼンテーション、質疑応答を行う。
注意点
使い捨てではないソフトコンタクトレンズを使用している学生は散瞳薬点眼時に一時的にコンタクトレンズをはずすので容器を持参することが望ましい。
眼科BSLレポート作成要項
- BSLレポートはワープロ使用を原則とするが、それが不可能な場合は丁寧な楷書体による手書きとする。
- 受け持ち患者について、病歴、所見、経過を簡単にまとめる。
- 眼科BSLを体験して感じた点を感想としてまとめる。良かった点、改善して欲しい点など忌憚のない意見が望まれる。内容については一切評価とは関係しない。
6年次学生:高次臨床実習(クリニカルクラークシップ、高次BSL)の手引き
眼科クリニカルクラークシップの目的
- 5年次で経験した眼科BSLの期間を延長した形とし、その間に眼科の診療器具を安定して使いこなせるようになること。とくに直像検眼鏡ばかりでなく倒像検眼鏡の使用方法にも習熟する。
- 自分の担当した患者の病態を5年次BSL以上に深く理解し、その理解の上にたったプレゼンテーションを総回診などで修練する。
- 眼科診療チームの一番下のレベルに位置して、指導医とともに行動する。病棟担当グループのグループカンファレンスに参加する。
眼科クリニカルクラークシップの評価
- 日々の診療で行動をともにした指導医の直接の観察に基づいて評価する。
- 最終週に自分が担当した患者の症例報告を教室員全員の前で行い、プレゼンテーション後に質疑応答を行う。
弘前大学眼科セミナーなど各種眼科セミナーへの参加
眼科学教室では弘前市内を中心に月1回程度土曜日夕刻に眼科医向けに各種の眼科セミナーを開催している。眼科学に興味のある学生は随時無料で参加できる。
セミナー後に開催される情報交換会にも参加して立食の食事をしながら眼科スタッフとの情報交換が可能である。期日と場所については逐一このページに掲示するので参照のこと。医学生であれば学年は問わない。