講座紹介


 本講座は、doctor's doctorと呼ばれるにふさわしい優れた病理医を養成することを最重要課題としています。本講座で卒後研修を受けた認定病理医や細胞診指導医は、青森県はもとより、各地で活躍しています。

 病理学講座は基礎講座に配置されていますが、病理組織学的診断や細胞診診断を中心とした、いわゆる外科病理を担う臨床講座としての特徴も有しています。本講座では、外科病理診断では通常の病理診断に加え、分子生物学的手法を取り入れた分子診断を行っています。また研究面では、トランスジェニックマウスやノックアウトマウスを導入し、新しい分子病態メカニズムを解明し、将来へ向けた治療応用を目指しています。

  


1 分子病理診断

 ルーチンの病理組織診断に加えて、病理組織標本からDNAやRNAを抽出したり、in situ hybridizationを行うことで、悪性腫瘍の分子診断や、感染症の原因となる病原体の同定を行っています。分子病理診断は、現在外科病理において欠くことのできない手法です。

2 膵臓の病理学的研究

 膵臓の病気の増加は近年著しく、膵外分泌腫瘍性疾患や膵内分泌疾患の病理について分子生物学的アプローチを試みています。とくに、糖尿病における高血糖の結果、細胞内でもグルコースの濃度が上昇し、ポリオール経路や非酵素的な蛋白質の糖化反応であるグリケーション、そして酸化ストレスが亢進します。このような経路の活性化が、どのように細胞傷害や組織の機能異常をきたすの か、遺伝子組み替えマウスを用いて検討しています。

  

3 新しいG蛋白共役受容体の役割

 スフィンゴシン1リン酸をリガンドとする新しいG蛋白共役受容体であるEdg1は、血管内皮細胞や膵B細胞に発現していることが知られています。このEdg1のノックアウトマウスを用いて、Edg1が生体や疾患においてどのような役割を果たしているのか明らかにしています。


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