研究テーマ
1. 病理診断学
患者検体の診断は、治療方針に大きく影響する。このため、正確かつ迅速な病理診断を行えるよう精度向上に努めることで、質の高い医療に貢献する。臨床科と合同カンファレンスを行うことで、臨床と病理との連携を大切にしている。
2. 腫瘍病理学
A. 機能性核酸を用いた遺伝子発現の特異的制御および細胞機能特性の解明を行う。特に、ヒト悪性腫瘍の増殖抑制と転移制御を目指す。
B. 骨肉腫細胞の増殖・分化を制御する因子を、研究室で樹立されたマウス骨肉腫細胞を材料に、分子生物学的方法を用いて解析する。
3. 消化器病理学
A. 大腸癌、食道癌、胆道癌、膵癌などの切除材料を用いて、癌の発育進展や転移の様式を検討し、これらに関わる因子を免疫組織化学的手法や分子生物学的手法を用いながら解析する。
B. 炎症性腸疾患の病理学的研究: 生検病理組織診断基準を確立し、臨床に実際の臨床現場に役立つ組織診断の方法論を積極的に導入する。
4. 整形外科病理学
A 骨軟部腫瘍の外科病理: 骨・軟部組織に発生する腫瘍、とくに悪性の肉腫の臨床病理学的研究を行う。
B. 非腫瘍性骨・関節疾患の病理: 骨壊死、関節損傷、靱帯骨化などの疾患を臨床病理学的および分子病理学的方法にて検討する。
5. 時計遺伝子の機能解析
時計遺伝子は、1日約24時間の周期を刻む概日リズム(生物時計)に関与する遺伝子である。
A 時計遺伝子DECの解析: DEC遺伝子は、概日リズムを形成するのみならず、低酸素、癌化など様々な病的現象に深く関与しており、これらに関わる機序を分子生物学的に解明する。
B. ノックアウトマウスの解析: DEC遺伝子欠失マウスを用い、生体調節機構における時計遺伝子DECの重要性を個体レベルで明らかにする。