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教授からのメッセージ

小児科の臨床研修
弘前大学医学部 小児科学講座  伊藤悦朗


 小児科の魅力は,「高度な専門性と全人的医療の実践,そして医師としての誇りと生きがい」にあります。小児科は3Y(ゆめ、やりがい、やる気)のある特別な科です。我々小児科医自身も、こどもが病気から回復し、生き生きとした目と笑顔を取り戻した時、多くの元気をもらいます。私もこどもが好きで小児科医を目指しましたが、選択は間違っていなかったと確信しています。弘前大学小児科では、こどもたちのために最高レベルの医療を提供できるように一丸となって、診療、教育、研究に取り組んでいます。弘前大学小児科の研修システムの目的は、若い医師を小児科医として一人前にし、さらに次世代の小児科の未来を開拓する人材を養成することです。

 弘前大学の研修システムの特徴の一つは、附属病院と関連病院小児科の研修を通じて、common diseaseから高度な専門領域の知識を必要とする重症な疾患まで、最初の3年間で数多く経験できることです。最初は、主に青森県内の関連病院小児科で、小児common diseasesの研修を受けることになります。複数の小児科専門医からきめ細かい臨床指導を受けられますので、一般小児医として必要な知識、技術と姿勢を磨くことができます。次に、附属病院における研修で、高度な専門領域の知識と経験を必要とする小児疾患の研修を行います。附属病院でも優秀で人間的にも優しいスタッフが指導しますので、 安心して研修を受けることができます。重症な患者さんの診療に従事することが多いため、附属病院に於ける研修を敬遠する学生もいますが、重症な患者さんからは、学ぶことが多く、自分が関連病院から紹介した患者さんがどのような診療を受けているかを実際に経験することができます。軽症例のみの診療に従事していますと、背後にある重篤な疾患を見逃したり、高次医療機関への紹介が遅れたりする危険が生じます。したがって、両者をバランスよく経験することが必要です。このような研修を通して、オーソドックスな診療の基本を学び、小児科医としてさらに伸びる基礎ができます。

弘前大学ならびに関連病院小児科では各分野で満遍なく症例を経験できます

 2年の初期卒後臨床研修の後、小児科専門医研修施設で3年間の臨床研修を修了すると小児科専門医の受験資格が与えられます。受験には、自ら診療に携わった計30症例の症例要約が必要ですが、10分野の疾患について分野毎に2症例以上を記述する必要が あります。弘前大学ならびに関連病院小児科では各分野で満遍なく症例を経験できますので、症例不足で困ることはありません。  3年から4年目以降、専門領域(血液・悪性腫瘍、循環器、腎臓・アレルギー・免疫、神経、未熟児・新生児)を選択し、指導者のもとで研修を行います。小児科専門医を取得した後、さらに各領域の専門医取得を目指すことになりますが、弘前大学と関連病院小児科では、日本血液学会専門医9名、小児循環器学会専門医4名、日本腎臓学会専門医7名、小児神経専門医6名、新生児専門医1名が若い医師の指導に当たっています。専門領域の研修を行うことにより、一般小児科臨床のレベルも向上します。専門医の養成には、国内の他の専門的施設に於ける研 修も含みます。現在までに、多くの施設へ派遣しております。

新しい知識を得ることは重要ですが、その過程を体験することの方がもっと重要だと言えます

 弘前大学小児科では、「研究」を大事な研修の一部と考えています。インターネットの発達により、必要な知識を得たい時には、コンピューターにkey wordsを入力すれば過去何十年間分の論文を数分で検索することができます。「過去の知識」なら誰でも容易に得ることができるのです。しかし、得られた知識の理解度は個人によって大きな差を生じます。多くの論文を批判的に読み、自身の実際の経験に照らし合わせて、臨床の場で最良の結論を出せるかどうかは、その個人がどのようなトレーニングを受けてきたかどうかにかかっています。その差は『research mind』があるかどうかで決まると考えています。新しい知識を得ることは重要ですが、その過程を体験することの方がもっと重要だと言えます。大学院で研究を行うことは、この『research mind』を養う絶好の機会です。これから起こる医療の進歩に対応できるようにするためにも、『research mind』を養うことは重要です。自分自身が体験した臨床経験から出た疑問点を明らかにし、それを論文発表という方法で普遍的な知識にできたら、臨床家としてどんなに素晴らしい体験でしょうか。また、さらに研究を続けたい方には、国内留学、海外留学の門戸も開かれています。

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