2002.01.15 血液・造血器系作用薬の講義に関するQ&A

 

Q.再生不良性貧血の治療法は?

A.主な治療法は次のようなものがある。

1)免疫抑制療法:この疾患の多くが自己免疫疾患によるものと考えられるため、
免疫抑制による治療が行われる。造血機能を攻撃するリンパ球の活性を抑えて
造血機能を改善させる。
薬物としては免疫抑制剤のシクロスポリン、副腎皮質ホルモンなどを用いる。
これと同等な効果が期待できるものとして、骨髄移植があるが、ドナーの確保が難しい。

2)蛋白同化(アナボリック)ステロイド療法
腎臓の赤血球産生ホルモンであるエリスロポイエチンの分泌を増加させる蛋白同化ステロイド薬を用いる。
天然のアナボリックステロイドとしては、テストステロン、アンドロゲンなど。
更にテストステロンの男性ホルモン様作用を抑えた合成アナボリックステロイドがある。

Q.脳貧血とは?

A.めまいが急に起こって倒れたり、立ちくらみを起こしたりする症状を一般に脳貧血と呼ぶ。
これは厳密には貧血ではない。 脳血流が一過性に減少したために意識に影響がでるものである。

 

Q.ヘパリンの抗血液凝固作用のメカニズムは?

A.ひとつには血液凝固カスケードを進行させるセリンプロテアーゼ(トロンビン、Xaなど)を不活性化
するアンチトロンビンIIIと結合し、その作用を著しく増強する機構が存在する。(血液凝固カスケード
系の抑制)
一方、血小板凝集の最初のステップは内皮剥離した血管の基底膜にvWFが結合し、そこに血小板が自身の
細胞膜表面にあるGPIbを介して結合することである。
ヘパリンはvWFとも結合するが、vWF上の結合部位は血小板のGPIbが結合する部位と隣接している。
従って、血小板のvWFへの結合と拮抗的に阻害することになる。(血小板系の阻害)