2002.02.04 副腎皮質ホルモンの講義に関するQ&A
Q.ステロイド受容体はなぜ二量体(ダイマー)で核内に入るのか?
A.DNAの配列によく見られる構造にパリンドローム構造というものがある。
たとえば
5'- TCCGGA-3'
3'- AGGCCT-5'
このように相補鎖をそれぞれ5'末端(あるいは3'末端)から読むと同じ配列に
なる構造を指す。
Glucocorticoid response element も次のようなパリンドローム構造をとっている。
5' AGAACAnnnTGTTCT 3'
3' TCTTGTnnnACAAGA
5'
このような構造を認識するために、受容体もホモダイマー(同一分子による二量体)
構造をとることになる。
ちなみにDNAの切断をする制限酵素もダイマーで機能するが、やはり切断部位が
パリンドローム構造であり、同じ理由に拠る。
Q.熱ショック蛋白の熱とは?
A.熱ショック蛋白は、培養細胞に熱ストレス(通常37度で培養するところを、40度
くらいに上昇させる)を負荷すると発現してくる一連の蛋白として見つかったため、
そのように命名された。しかし、実際は様々なストレスに対する応答で誘導される。
その機能はストレス負荷時に細胞が生存するための防御機構(あるいは修復機構)に
必要なものと考えられた。
しかし、そのような非常時だけでなく、正常な環境においても生理的な機能を果たして
いることもわかってきている。そして現在ではこれらの蛋白の総称として、
分子シャペロンが用いられている。
Q.スピロノラクトンの薬理作用と臨床応用は?
A.スピロノラクトンはアルドステロンがその受容体に結合するのを阻害することで、
アルドステロンの鉱質コルチコイド作用を抑制する。
臨床応用としてはカリウム保持性利尿薬として用いられる他、
原発性アルドステロン症(鉱質コルチコイド過剰)に基づく高血圧の治療に用いられる。