第17回酸素ダイナミクス研究会進行雑感

初日は、一酸化炭素の脳における役割に鋭いメスを入れた慶応の梶村真弓先生のお話に始まり、生細胞内の温度イメージングという全くの新分野を開いた東大の岡部弘基先生、二光子顕微鏡による脳の慢性記録で血管の可塑的変化を実に見事に可視化した電通大/放医研の正本和人先生、ヘム代謝関連内因性蛍光分子による腫瘍イメージングなど臨床に直結した光学技術の開発でご活躍中の防衛医大守本祐司先生、燐光による低酸素イメージングの開発で高名な群馬大学飛田成史先生等、いずれ劣らぬオリジナリティーの高い気鋭の研究者のご発表をじっくりとお聞きすることができました。

酸素ダイナミクス研究会の伝統ともなっている活発な質疑応答も、運営委員会の論客の先生方に加えて、国立がん研究センター東病院長江角浩安先生や、放医研の菅野巌先生、演者の先生方等を中心に的を得たご質問で理解が深まり、小規模研究会ならではと感じました。今回設けたポスター発表では、シンポジストの先生方の研究室の若手によるご発表もあり、口演中に把握しにくかった部分等をゆっくりお聞きできました。また理研の平瀬肇先生や東大の花岡健二郎先生を始めとする第一線の研究者によるハイレベルなポスター発表もあり、今後を担う大学院や若い先生方が大御所に交じって真剣なまなざしで質問している様子に大変勇気づけられました。

夜は、弘前大学医学部コミュニケーションセンターで懇親会、地元企業であるニッカ弘前工場のご厚意によるシードルで乾杯、本年ロンドンのインターナショナルワインチャレンジの純米大吟醸部門で見事金賞に輝いた地元蔵元斉藤酒造の六根も並び、第二回津軽三味線全日本競技会A級優勝の多田あつしさんのファミリーによるアットホームな演奏で盛り上がり、無料CDは予想外(失礼!)にも売り切れ。強さ一辺倒でない味のあるもので、もう少し聞きたいところでしたが、本日のメインイベントへ。バスでねぷた会場近くまで移動、桟敷席まで歩くため大型ねぷたとねぷたの間を、人数にものを言わせて次のねぷたを一瞬止めて道路を渡り臨場感たっぷり。今年は、審査の終わった81台の全ねぷたが集結する日がちょうど土曜日にあたる珍しい年で、観客も多く、桟敷席ではシードルもふるまわれ、祭りの熱気に一瞬日常を忘れる瞬間。
小1時間ほど観賞してから国指定文化財三上ビル1階のGranpaに移動して、お待ちかねのAfter Session。せっかく異分野の先生方にもお集まりいただいたので、ぜひじっくりScienceと日頃の思いを語りあっていただき、また若い先生方にもいろいろ交流を深めていただきたいと、窓の外をねぷたが通る中で語り合ううち11時。翌日の朝も早いのでこのあたりでお開きに。

翌早朝は若手を中心としたショートセッションに続いて、呼吸生理の大御所、鬼丸洋先生 (昭和大学)による、延髄呼吸調節機構をわかりやすく、動画も交えてまとめていただいた格調高い特別講演が大変好評でした。休憩時間とポスター時間を二日目にもゆっくりとり、話足りない部分を補っていただいた後、シニアクラスによる一般セッションに進み、東大薬学の朴文先生による低酸素蛍光プローブのお話でお開きとなりました。午後は総会、記念撮影の後、日頃多忙を極める先生方に英気を養っていただければと、江戸時代のままの城郭や城門の残る弘前城へ。