腫瘍とは一般に、体の表面や体の中にでき、かたまりとして触れたり、色が違っている部分があるなどのものを総称して呼ぶ言葉です。腫瘍には、良いものや悪いもの、生まれつきのものや生まれてからできるもの、平らなものや盛り上がってくるものなど、全てが含まれます。 形成外科では主に、体の表面に近い部分の腫瘍、すなわち皮膚や脂肪、筋肉などにできた腫瘍を扱います。
Q : 腫瘍は、症状がなければ取らなくてもよいですか
 自然になくなる腫瘍はあまりなく、たいていは徐々に大きくなっていってしまいます。小さいうちに取ってしまうほうが手術の傷も小さく、簡単な手術ですみます。また、そのままにしておくと重要な神経を圧迫し、痛みや筋肉の動きに影響することもありますので、診察を受けることをお勧めします。

Q : 痛くない腫瘍は我慢してもよいですか
 腫瘍によってはかなり大きくなっても痛みのないものもありますが、自然になくなることはまずありません。悪性のものでも痛みのないものが多いです。早めに受診して相談しましょう。

Q : 腫瘍を手術しないで治す方法はありますか
 いぼなどの一部のものは、注射などで治すことができるものもあります。

Q : 良性と悪性の違いは何ですか
 悪性のものは、腫瘍を取ったあと、目に見えないでわずかに残っていたところから再び腫瘍が大きくなってきてしまう「再発」を繰り返したり、身体の他の部位に飛び火して大きくなる「転移」を起こすことが特徴です。しかし、良性のものでも徐々に大きくなり、周囲の神経などを圧迫したりするため、治療は必要になります。

Q : 悪性腫瘍と癌とは同じですか
 正式な定義は違いますが、再発や転移を起こし、生命にかかわるという点では同じです。

Q : 悪性腫瘍は見てわかりますか
 一般に急に大きくなるもの、出血を繰り返すもの、表面がじくじくしているものなどは、悪性であることが多いとされます。しかし、違う場合でも悪性のことが少なくありません。良性か悪性かは、切除したものを顕微鏡できちんと調べることにより詳しく診断できるので、手術をして調べる必要があります。

Q : 体の表面の腫瘍は全て形成外科でよいのですか
 まぶた、耳、鼻、まゆ、頬、くちびるなどは、現在眼科、耳鼻科、口腔外科などで治療するよりも形成外科で治療することが一般的です。皮膚の腫瘍も皮膚科ではなく形成外科で治療する方が一般的になっています。それらの科に行った場合、形成外科に紹介されることが多いです。

Q : 皮膚の一部が突然はれて痛くなりました
 皮膚や皮膚の下で、炎症を起こしていたり化膿している可能性があります。他にも色々な原因が考えられますが、いずれもきちんとした処置をしないとひどくなることが少なくありません。早めに受診しましょう。

Q : 年を取っているので手術はやりたくないというのですが
 お気持ちはよくわかりますが、そのままにしておくと大きくなっていくため、腫瘍がまぶたにあれば目が見えなくなったり、神経に腫瘍がからむと強い痛みを引き起こし、症状が悪化したりして結局病院にいらっしゃる方が殆どです。腫瘍が小さいうちに受診すれば大変な思いをしなくても治ることをお話しして受診するよう説得することをお勧めします。また、麻酔の技術も進んできていますので、最近は90歳以上の方が手術を受けられることも少なくありません。

Q : ほくろはどうやって治療するのですか
 最近レーザー治療という言葉を耳にすると思います。しかし、レーザーといっても、ほくろはレーザーで焼いて取ることになります。形成外科の技術を持った医師が、手術で取った方が良い場合も多いですので御相談下さい。局所麻酔にて手術を行い、1週間くらいの通院で簡単に治ります。また、悪性の可能性がある場合などは、取ったものをきちんと顕微鏡で調べる必要がありますので、手術が必要です。

Q : ほくろの癌とよく聞きますが
 「悪性黒色腫」といって、非常に転移が多く生命に関わる場合が多い怖い病気のことです。ほくろが急に大きくなって盛り上がったり、出血したりなど変化があるようであれば、できるだけ早く受診して御相談下さい。

Q : 黒い腫瘍が顔にありますが、ほくろの癌でしょうか
 可能性はありますが、黒い腫瘍には他にいくつも種類があり、良性のこともあります。 「基底細胞癌」といって黒くなりやすい悪性腫瘍もありますが、「悪性黒色腫」よりも頻度が高く、きちんと腫瘍を取りきれば全く問題のないものです。怖がらずに受診して下さい。

Q : 表面の皮膚は何ともないのですが、その下で盛り上がってきました
 皮膚の中には神経、血管、脂腺、汗腺、毛など多くのものを含んでいます。これらの全てから腫瘍ができる可能性があります。また、皮膚の下の脂肪、筋肉なども同じです。一見分かりにくく、知らない間に大きくなっていることもありますので、気付いたら早めに調べたほうが良いでしょう。

Q : 子供が産まれたときから頭の後ろの皮膚の下にころころするものがあります
 腫瘍である場合と、正常の「リンパ節」の場合があります。リンパ節は体の色々なところで触れることがあるもので、取らずに様子を見ることが可能です。腫瘍の場合には、まれに深いところまでつながっているものもあります。医師の診察を受けましょう。

Q : ピアスの穴のところが盛り上がってきました
 ピアスケロイドの可能性が高いです。放っておくとさらに大きくなっていきます。簡単な手術と後療法で治せます。

Q : 乳癌で乳房をとりましたが、その後どうやって形を治すのですか
 お腹や背中の皮膚と脂肪を、失ったところに移植します。入院しての手術が必要です。後日、乳首をつくることもできます。

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