ご挨拶

地域・院内がん登録の登録士育成コース

中路 重之
(社会医学講座 教授)

   

 青森県はがんの年齢調整死亡率が全国で最も高い県です。しかし、なぜ青森県のがん死亡率が高いのかは不明なのが現状です。がん罹患率が高いのか、病期が進行してから診断される率が高いのか、あるいは治療成績が悪いのかによってその対策は大きく異なります。そのため、効果的ながん対策を実現するためには正確ながん症例情報を収集する地域がん登録が必要です。また、地域がん登録のデータが偏りなく質が高いものであるためには、レベルの高い院内がん登録が広く普及する必要があります。弘前大学が担当する地域・院内がん登録の登録士育成コースでは、これらを実現するために実際に作業にあたる登録士の養成を行います。具体的には、解剖学や病理学の講義によってがんに対する理解を深め、がん登録の標準登録項目の解釈についての講義と登録作業の実習を通して質の高いがん登録を目指します。また、データの集計や解析についても実習を行う予定です。
精度の高いがん登録を行うことはがん予防をはじめとするがん対策のために必要なだけでなく、がん疫学の研究やがん医療の評価のためには欠かすことができません。いわば、本コースはがんプロフェッショナル人材育成事業の根幹になるものですし、今後の発展のためにも必要であると考えます。