文部科学省「多様な新ニーズに対応する「がん専門医療人材(がんプロフェッショナル)」養成プラン」採択プログラム



大学院医学研究科長 廣田 和美

 弘前大学は2007年から5年間、秋田大学、岩手医科大学、岩手県立大学とともに「北東北がんプロフェッショナル養成プラン」を推進し、がん治療に関する専門医およびコメディカルスタッフを育成してまいりました。
2012年からは東京医科歯科大学を主管校とする「次世代がん治療推進専門家養成プラン」の中で、「地域がん専門医療人養成コース」をスタートさせ、外科腫瘍医、腫瘍内科医、放射線腫瘍医の養成に努めてまいりました。
この10年間の取り組みによって、従来の診療科を横断する人材養成体制の構築と全国的ながん教育の均霑化が整備されてきました。
2017年からは東京医科歯科大学を主管校とし8大学が連携する「未来がん医療プロフェッショナル養成プラン」の中で、3つのコース(地域がん医療推進のための未来リーダー育成コース、小児血液・がん専門医育成コース、地域がん医療スタッフ育成のためのコーディネーター養成コース)を担当することになりました。
本プランの特徴は「連携」と「実践」です。
これまでに養成した人材およびシステムを最大限に活用し、未来志向のがん医療者を養成することを目的としています。


小児血液・がん専門医育成コース

コース責任者 小児科学講座 教授 照井君典


 小児がんは、小児が罹患する様々な悪性腫瘍の総称です。
主な小児がんには、白血病、脳腫瘍、神経芽細胞腫、悪性リンパ腫、ウイルムス腫瘍、肝芽腫などがあります。
造血器腫瘍である白血病や悪性リンパ腫が全体の約40%を占めますが、その他のがんは種類が多く大人では稀なものばかりです。
逆に、大人に多い胃がんや肺がんなどは子どもではほとんど見られません。
日本での小児がんの発生数は年間2500例前後と考えられていますが、専門家が少ないため、小児血液・がんに特化した専門医の育成が社会から求められています。
しかし、そのためには症例が豊富な施設において、小児血液・がん専門医あるいは血液専門医による指導が必要になります。
本学附属病院は、オールジャパンの小児がん臨床研究グループである日本小児がん研究グループ(Japan Children‘s Cancer Group, JCCG)に参加して、倫理性、科学性を重視した臨床研究を実施しています。
また、本院は、日本小児血液・がん学会および日本血液学会の専門医研修施設です。
指導環境・研究環境が整っていて豊富な症例数がある本院で、小児の血液腫瘍や固形がん領域に関する幅広い知識と十分な経験および技能を習得することができます。
特に、本院は、JCCGのダウン症候群関連白血病(TAMおよび急性巨核芽性白血病)の中央診断施設であり、全国から臨床検体が集積します。
これまでに、本症に関する最先端の研究を世界に発進しています。
専属の研究者の研究指導を受けながら、関連する研究に従事することにより、小児血液・がん領域の最先端の分子生物学を効率的に学ぶことができます。


地域がん医療推進のための未来リーダー育成コース

地域がん医療スタッフ育成のためのコーディネーター養成コース
(インテンシブコース)

コース責任者 腫瘍内科学講座 教授 佐藤 温


 青森県は人口減・高齢化、そして若年層を含めたがん死亡率が最も高い地域です。しかし、これは本県だけが抱える問題ではありません。人口減・高齢化は今後の日本が抱える大きな問題であり、本県は日本の将来の最先端を走っている状況とも言えます。
だからこそ、その対策を打ち出すモデル地区となることができるのです。
地域におけるがん医療が抱える問題を解決するためには、がんに関わるすべての医療従事者の連携システムの構築と教育、そしてすべての世代の地域住民に対する教育が必要となります。その解決策として弘前大学では地域がん医療に着目した二つのコースを設けました。

 「地域がん医療推進のための未来リーダー育成コース」は、医学研究科医科学専攻大学院生として4年間、疫学・病態から始まり、すべての病期のがんに対する外科手術、放射線治療、薬物療法、緩和医療までの全般的な知識を学んでいただきます。
そして、地域のリソース、需要を調査研究して、学んだ知識を実際に地域社会に還元する研修を行い、がん教育の教育技法を演習に取り入れ、行政との連携を図りながら、この大きな問題の解決に将来の指導者として資質のある人材を育成することを目的としています。
とは言え、指導的立場の医療者が育成されただけで問題が解決するはずがありません。
仲間が必要です。現状で何かを変えていくには、多くのメディカルスタッフのちからがなくてはあり得ません。
「地域がん医療スタッフ育成のためのコーディネーター養成コース(インテンシブコース)」では、1年間の履修で、地域のがん医療現場で活躍する医療スタッフのニーズに合わせた研修プログラムを提供できる人材。
そして、その知識と技術を身に着け、地域に還元できる人材の育成を目標としています。
診断期・治療期・終末期までのあらゆる相、およびすべてのライフステージでのケアの知識を有し、地域のメディカルスタッフのネットワーク体制のコーディネートが出来る人材の輩出を目指します。
 難しい話ではありません。「このままではいけない。」「次の世代につなげるものを作ろう。」等など、がん医療に対する熱い思いがある方が集まれる場の提供と考えて下さい。
仲間がいれば、何かを動かすことができます。
がん医療において、ここ青森県が日本で一番幸せな地域になることこそが、将来の日本を救うことになると思います。
夢を抱く皆さんの情熱を期待しております。また、各種企画イベントを行っております。履修は難しい方々、一般の方々もどうぞ積極的にご参加下さい。