教授挨拶

 

 

 

 

 

 

 

 この度、令和3年2月1日付けで、福田幾夫教授の後任として弘前大学大学院医学研究科胸部心臓血管外科学講座を担当させて頂くこととなりました。当科では、呼吸器外科と心臓血管外科の診療を、それぞれの専門医ならびに指導医が担当しており、あらゆる時間帯の緊急手術にも対応しております。

【呼吸器外科】

 肺腫瘍、嚢胞性肺疾患、縦隔腫瘍、胸壁疾患、感染性肺疾患などに対する外科治療を行っています。年間約150例の手術を行っていますが、肺切除術の多くは皮膚切開長が6cm以下の完全鏡視下で行っており、低侵襲手術が主体となっています。また、肺の切除範囲を最小限にとどめて且つ十分な切除効果が得られるべく、近赤外線光カメラと蛍光色素を用いて切除肺区域の正確な同定を行っています。胸壁疾患では、悪性腫瘍に対する胸壁切除再建手術では良好な成績を収めており、近年は漏斗胸に対する小切開手術(Nuss手術)を学童期以降の患者様に積極的に行っております。

【心臓外科】

 先天性心疾患、後天性心疾患(虚血性心疾患、心臓弁膜症)のあらゆる疾患の手術に対応しております。 先天性心疾患手術では、心房中隔欠損症や心室中隔欠損症、動脈管開存症といった比較的頻度の高い疾患から、成人期までの段階的手術を要する複雑かつ希な疾患まで幅広く行っており、良好な手術成績を収めています。先天性心疾患手術では手術自体の技術が重要であることはもちろんですが、術後管理や退院後の外来管理も手術成績を向上するうえで大切であり、当院では集中治療部や小児科学講座、臨床工学部と綿密な連携をとっています。さらに、成人先天性心疾患外来を設けて、生涯を通じて専門的な通院治療が出来るようにしております。 後天性心疾患では、冠動脈バイパス手術の約9割で人工心肺装置を使用しないオフポンプ手術を行なっており、手術死亡率が0.15%以下と全国平均の10分の1の良好な成績です。心臓弁膜症手術では僧帽弁形成手術や大動脈弁置換手術、小開胸内視鏡補助下低侵襲心臓手術(MICS)も行っています。  胸部大動脈疾患では、大動脈基部置換(形成)術、弓部大動脈置換術を緊急手術であっても良好な成績で行っています。重症な肺動脈血栓塞栓症に対しても、緊急手術で多くの方々を救命しています。

【血管外科】

 ハイブリット手術室において、胸部大動脈瘤や腹部大動脈瘤に対する低侵襲手術である、ステントグラフト内挿術を毎週定時手術で行っています。これらの手術は、緊急手術においても対応しております。 


  私たちは、近隣施設や県内、県外の遠隔地の施設と緊密に連携しながら、「青森県において最高の医療を提供する」ことを理念に日々の診療や研究に努めています。そのために、国内の専門施設における長期研修や、海外留学や施設見学も行ってきており、若手外科医の育成にも取り組んでおります。 地域の皆様をはじめ、これから呼吸器外科ならびに心臓血管外科に興味を持たれている医学生や研修医の皆様、いつでもご相談下さい。 どうぞ宜しくお願い申し上げます。

 胸部心臓血管外科学講座 教授

 皆川 正仁