| 国立大学法人弘前大学障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員対応要領  (平成28年学長裁定第13号。以下「対応要領」という。)第6条及び第7条の規定に基づく具体例は、以下のとおりとする。 
 
 第1 不当な差別的取扱いに当たり得る具体例(第6条関係)
 
 対応要領第3条第1項及び第2項のとおり、不当な差別的取扱いに相当するか否かについては、個別の事案ごとに判断されることとなるが,医療分野のサービスの提供にあたっては、福祉サービスその他の関連するサービスとの有機的な連携を図る必要があり、日頃から障害に関する理解や障害者の人権・権利擁護に関する認識を深めるとともに、より高い意識と行動規範をもって障害を理由とする差別を解消する取組を進めるため、具体例を次のとおりとする。
 なお,次に掲げる具体例については,正当な理由が存在しないことを前提とし,また,次に掲げる具体例以外でも不当な差別的取扱いに該当するものがあることに留意すること。
 
 ○サービスの提供を拒否すること
 
                          附属病院において、人的体制、設備が整っており、対応可能であるにもかかわらず、障害があることを理由に診療・入院等を拒否すること。特に、緊急の対応を要する場面も想定されることから十分留意する必要がある。
                          
                          正当な理由なく、附属病院内に身体障害者補助犬を同伴することを拒否すること
                        
                         ○サービスの提供を制限すること
 
 
                          正当な理由なく、診察などを後回しにすることで、サービス提供時間を変更又は限定すること
                          
                          正当な理由なく、診察室や病室の制限をすること
                          
                          医療の提供に際して必要な情報提供を行わないこと
                        
                         ○サービスの提供に際し条件を付すこと
 (障害のない者には付さない条件を付すこと)
 
 
                          正当な理由なく、保護者や支援者・介助者の同伴を診察・治療等の条件とすること
                        
                         ○サービスの提供に当たって、他の者とは異なる取扱いをすること
 
 
                          正当な理由なく、本人(本人の意思を確認することが困難な場合は家族等)の意思に反した医療の提供を行うこと又は意思に沿った医療の提供を行わないこと
                          
                          正当な理由なく、附属病院が行う行事等への参加や共用設備の利用を制限すること
                          
                          本人を無視して、支援者・介助者や付添者のみに話しかけること
                          
                          大人の患者に対して、幼児の言葉で接すること
                          
                          わずらわしそうな態度や、患者を傷つけるような言葉をかけること
                          
                          診察等に当たって患者の身体への丁寧な扱いを怠ること
                        
                         
 第2 合理的配慮に該当し得る配慮の具体例(第7条関係)
 
 合理的配慮は、障害者の利用を想定して事前に行われる建築物のバリアフリー化、必要な人材の配置、情報アクセシビリティの向上等の環境の整備を基礎として、個々の障害者に対して、その状況に応じて個別に実施される措置である。その内容は、対応要領第3条第3項及び第4項のとおり、障害の特性や社会的障壁の除去が求められる具体的状況等に応じて異なり、多様かつ個別性が高いものであり、当該障害者が現に置かれている状況を踏まえ、社会的障壁の除去のための手段及び方法について、必要かつ合理的な範囲で、柔軟に対応する必要がある。
 附属病院において医療分野のサービスを提供するに際して、個々の場面において、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合は、次のような合理的配慮を提供することとなる。合理的配慮を提供する際は、障害者の性別、年齢、状態等に十分に配慮する必要があるが,具体例は次のとおりである。
 なお,次に掲げる具体例については、過重な負担が存在しないことを前提とし、また、次に掲げる具体例以外にも合理的配慮は多数存在することに留意すること。
 
 
 ○基準・手順の柔軟な変更
 
 
                          障害の特性に応じて施設のルール、慣行を柔軟に変更すること(診察等で待つ場合、患者が待ちやすい近くの場所で待っていただくなど)
                         ○物理的環境への配慮
 
 
                          施設内の段差にスロープを渡すこと
                          エレベーターがない施設の上下階に移動する際,マンパワーで移動をサポートすること
                          トイレや浴室をバリアフリー化・オストメイト対応にすること
                          床をすべりにくくすること
                          階段や表示を見やすく明瞭にすること
                          車椅子で利用しやすい高さにカウンターを改善すること
                         ○補助器具・サービスの提供
 
 「情報提供等についての配慮や工夫」
 
 
                          「建物や設備についての配慮や工夫」説明文書の点字版、拡大文字版、テキストデータ、音声データの提供や必要に応じて代読・代筆を行うこと
                          身振り、手話、要約筆記、筆談、図解、ふりがな付文書を使用するなど、本人が希望する方法で分かりやすく説明を行うこと
                          文書を読み上げたり、口頭による丁寧な説明を行うこと
                          電子メール,ホームページ,ファックスなどの多様な媒体で情報提供、予約受付、案内を行うこと
                         
 
                          「職員などのコミュニケーションや情報のやりとり、サービスの提供についての配慮や工夫」色の組み合わせによる見づらさを解消するため、掲示物や案内図等の配色を工夫すること
                          トイレ・病室など部屋の種類や、その方向を示す絵記号や色別の表示などを設けること
                          パニック等を起こした際に静かに休憩できる場所を設けること
                          障害者に配慮したナースコールの設置を行うこと(機能障害者用押しボタンなど)
                         
 
                          「職員同士での連絡手段の工夫」必要に応じて、手話通訳者や要約筆記者を配置すること
                          声がよく聞こえるように、また、口の動きや表情を読めるようにマスクを外して話をすること
                          ICT(コンピューター等の情報通信技術)を活用したコミュニケーション機器(データを点字に変換して表示する、音声を文字変換する、表示された図などを選択できる機器など)を設置すること<br>
                         
 
                          外見上、障害者であると分かりづらい患者(聴覚障害の方など)の受付票にその旨が分かる連絡カードを添付するなど、スタッフ間の連絡体制を工夫すること
                          診療の予約時などに、患者から申出があった自身の障害特性などの情報を、スタッフ間で事前に共有すること
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