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診療・研究グループ紹介

血液グループ

1. 臨床

 弘前大学小児科血液グループでは、血液疾患、小児がん、免疫不全症を中心に診療を行っています。
 小児がんは比較的まれな疾患であるため、正確な診断、適切な治療、よりよい治療の開発を行うためには、多くの施設が協力し合うことが重要です。当グループでは、それぞれの分野の全国規模の治療研究グループに所属し、診療にあたっています。白血病、悪性リンパ腫などの血液のがんの分野では、小児白血病研究会(JACLS)と日本小児白血病リンパ腫研究グループ(JPLSG)に所属しており、細胞表面マーカー検査、遺伝子検査、病理検査などの検査については、それぞれの分野の専門家が担当するJPLSGの中央診断を受けることができます。治療については、JPLSGのそれぞれの疾患の治療研究委員会が、よりよい治療の開発のために作成した治療研究に参加することができます。該当する治療研究がない場合、あるいは該当する治療研究はあっても参加を希望されない場合には、現時点で最もよいと考えられる治療法を選択します。また、神経芽細胞腫、腎腫瘍、肝腫瘍、横紋筋肉腫、ユーイング肉腫、脳腫瘍などの固形腫瘍についても、疾患ごとの全国規模の治療研究グループ(JNBSG、JWiTS、JPLT、JRSG、JESS、JPBTCなど)に参加しています。
 当グループは、JPLSGの中央診断施設の役割も果たしています。これまでに、ダウン症候群の一過性異常骨髄増殖症を対象とした臨床試験TAM-10では187例、ダウン症候群の骨髄性白血病を対象としたAML-D11では87例について、GATA1遺伝子変異検査を担当しています。また、JPLSGの治療研究を計画し実施する立場からも(伊藤:TAM委員、照井:AML委員、分子診断委員)、小児がんのよりよい診断法・治療法の開発に取り組んでいます。
 また、従来の治療法では治癒が困難であった難治性の血液疾患、小児がん、免疫不全症の患者さんに対して、積極的に造血幹細胞移植を行っています。当グループでは、1986年に第1例目の同種骨髄移植を行って以来、現在までに延べ208例の造血幹細胞移植を行ってきました。現在、年間4-10人の患者さんに対して移植を行っており、最近では、HLA半合致血縁者間移植、KIRリガンドミスマッチ臍帯血移植、難治性固形腫瘍に対する同種造血幹細胞移植などにも取り組んでいます。世界に先駆けた移植例としては、NEMO遺伝子異常による先天性免疫不全症の患者さんに対する世界初の同種造血幹細胞移植の成功例(Bone Marrow Transplantation 2007)や、トリコスポロン感染症合併白血病患者さんに対してボリコナゾールを治療的・予防的に用いた臍帯血移植の成功例(Bone Marrow Transplantation 2010)などが挙げられます。非血縁者間骨髄移植と臍帯血移植の施設認定を受けた県内唯一の小児科として、今後も移植医療に取り組んでいきたいと思います。


2. 研究

 臨床においては最高の医療を提供することを目指して診療に励んでいます。しかし、その努力にも関わらず、残念ながら白血病等の難病を抱える子どもたちがすべて健康を取り戻せるわけではありません。治療成績をさらに向上させるためには、基礎研究が不可欠です。私たちは、特に、ダウン症候群の白血病とダイヤモンド・ブラックファン貧血 (DBA)という遺伝性貧血に焦点を絞って取り組んでいます。この二つの疾患については、日本で発生するほとんど全ての新規症例の検体が、全国から弘前大学に集まってきます。
 白血病は、多段階の遺伝子異常が蓄積して発症することが知られています。ダウン症児では、新生児期に5~10%が一過性異常骨髄増殖症 TAMが発症し、その約20%が生後4年以内に真の白血病である急性巨核球性白血 (DS-AMKL) 病を発症します。このため、ダウン症は、前白血病から真の白血病へ進展する過程を経時的に観察できるたいへん貴重な疾患であると考えられます。これまでに私たちは、赤血球・巨核球造血に重要な転写因子GATA1の遺伝子構造を明らかにし (Nature 1993)、その遺伝子変異がほとんど全てのTAMとDS-AMKLに生じていることを見出しました(Blood 2003)。ダウン症の一卵性双胎の研究により、出生前にGATA1遺伝子に変異が起こり、TAMが生じていることを見出しました (Blood, 2004)。また、TAMから白血病への進行に関わるリスク因子を発見し (Blood 2010)、巨核球の異常増殖を抑制するGATA1の最小領域を同定しました(Blood 2013)。さらに、最近、私たちは、GATA1変異を持つTAM細胞にコヒーシン複合体/CTCF、EZH2などのエピゲノム制御因子、およびシグナル伝達系分子をコードする遺伝子群に高頻度の変異が生じていることを発見し、ダウン症の白血病に起こっている遺伝子異常の全貌を明らかにすることに成功しました(Nature Genetics 2013)。今後も、小児白血病の画期的な治療法やさらに予防法を開発するために、大きな貢献をしていきたいと考えています。
 また、私たちはダイヤモンド・ブラックファン貧血 (DBA) という先天性貧血の発症機序に関する研究も進めています。DBAの多くは、リボゾームというタンパク質の生合成を担っている細胞内器官に異常がみられます。私たちは日本全体におけるリボゾームタンパク (RP) 遺伝子の頻度を初めて明らかにしました(Haematologica 2010)。さらに、通常のシーケンスでは同定出来ないRP遺伝子の大欠失が約10%も存在することを見出しました(Blood 2012)。これまでに次世代シークエンサーを用いた網羅的解析により、多くの新規原因候補遺伝子を見出し、機能解析が終了した原因遺伝子について最初の報告を行いました (Br J Haematol 2015) 。この分野でも、血液学の進歩に大きく貢献し、診断や治療法の開発に繋がる重要な発見が期待できます。  小児血液、小児がん、原発性免疫不全などの領域は稀少疾患が多く、「特殊から普遍へ」という考えを大切にしています。大きく考えながら小さく的を絞って研究することが、良い研究をするためには必要です。私たちの夢は、ダウン症の白血病やDBAの研究から小児白血病の発症や造血のしくみを理解し、小児の血液疾患の発症を予防することです。


3. 診療案内
 1) 血液外来・造血幹細胞移植外来

血液外来は、毎週水曜日の午前に行っています。青森県内を中心として、秋田県と岩手県の県北からも、毎週30人から50人程度の患者さんが受診しています。各種貧血、血小板減少症、凝固異常症などの血液疾患、小児がん、血管腫やリンパ管腫などの良性腫瘍、免疫不全症など、幅広く診療を行っています。
また、造血幹細胞移植外来も水曜日の午前に行っています。日本造血細胞移植学会の研修を受けた専任の看護師が、医師と協力して移植後の様々な合併症や問題に対応しています。


2) 入院

小児科専門の病棟に、常時15~20人程度の患者さんが入院しています。グループカンファレンスを週3回、小児科全体の患者カンファレンスを週1回行っており、患者さんの診断、治療方針などについて活発な議論が繰り広げられています。また、月1回小児外科、放射線科、患者さんの治療に関連する診療科と合同でカンファレンスを行い、各診療科が連携したよりよい集学的治療を提供できるよう努めています。2015年3月からは病院全体のキャンサーボードの一部として、小児がんボードが開催されるようになりました。
造血幹細胞移植は、新中央診療棟のICTU(強力化学療法室)で行っています。常時2-3人の患者さんが入室しており、年間4-10件の移植を行っています。患者さんの移植前には、医師と看護師による患者カンファレンスを行い、患者さんごとの問題点や移植スケジュールなどについて確認を行っています。稀な疾患に対する移植や合併症のリスクが高い移植を行う際には、国内の各分野の専門家と連携して移植を行っています。


4. 血液グループのメンバー

伊藤悦朗 (教授)
土岐力  (講師)
照井君典 (准教授)
佐々木伸也(講師)
工藤耕  (助教)
神尾卓哉 (助教)
佐藤知彦 (助教)
金崎里香 (テニュアトラック教員 助教)

心臓グループ

特徴

先天性心疾患をはじめとする小児の心臓病の治療には、診断から治療そして治療後の管理まで、患者皆様の必要に応じた内科的外科的な総合的なチーム医療が不可欠な分野です。私達の目標は、心臓病の子供たちが胎児から成人まで,その一生を通して最良の生活ができるように少しでもお手伝いすることにあり、この考えの下、毎日診療を行ってきました。手術において先進的な治療方法を開拓し、胎児診断を積極的に取り組み,最適な治療計画を考えることで、重症な赤ちゃんも数多く助けることができるようになりました。また、最新のカテーテル治療の導入も積極的に行い、治療の選択枝を広げる努力をしています。
北国の子供達の健やかな成長を目指して寝る間を惜しんで診療を続けています。忙しい日々の中、時にはお酒を酌み交わしてスタッフの親睦を図り、明日の診療への糧としています。常に一緒に行動し、お互いを尊重しあい、困難にあたった時はみなの力を結集して問題解決に当たります。全員で全患者を把握するように努め、多くの眼で患者を見つめて、知識・経験を結集しているのが我々循環器グループです。


研究

心筋病理学的知識に基づいた不整脈解析,川崎病,とくに冠動脈病変を有する症例の急性期及び遠隔期における心筋病変,並びに微小血管病変の解析,各種心筋症における遺伝子解析,心不全と神経体液因子の関連,心拍変動の臨床応用等,小児循環器疾患に関する基礎的研究に幅広く取り組んでいます.今後の課題としては、特に分子遺伝学的領域についていかに参入していくことができるかということです。最近はグループの大学院生がMarfan症候群の遺伝子解析を行い、新たな知見を発信したばかりです。当科は,血液グループ伊藤教授を中心とした分子遺伝学的研究ラボが独自のバイオテクノロジーを有し、彼らの独創性に富んだ知識,技術と連携し、少しずつでも基礎的研究を継続していきたいと考えています。


心臓グループのメンバー

高橋徹 (保健学科 教授)
大谷勝記(助教)
北川陽介(助手・国内留学中)
嶋田淳 (助手)
三浦文武(助手)

神経グループ紹介

週のスケジュール

月曜 神経外来(午前、午後)
火曜日 生理検査、MRIなどの検査
    総回診(午後)
木曜日 発達外来(午後)
金曜日 脳波判読、症例検討など


特徴

神経グループは、小児神経疾患、筋疾患、一部の代謝疾患の診断・治療ならびに早産児の成長発達、発達障碍児のフォローアップを対象として診療、研究、教育を行っております。小児神経疾患では、急性脳症、自己免疫性脳炎のような集中治療を要する疾患や、難治てんかん、大脳白質変性症、ギランバレー症候群、水頭症、二分脊椎等、幅広い疾患の診療を行っております。また進行性筋ジストロフィー、先天性ミオパチー等の筋疾患についても遺伝子検査、筋生検による診断、治療を積極的に行っております。


研究

伊藤教授の御指導のもと、次世代シークエンサーを用いた神経皮膚症候群に関する遺伝子解析に取り組んでおります。また臨床研究としては、自己免疫に伴う神経疾患、難治てんかんに関して他施設と連携して研究を行っております。


青森県の小児神経専門医の数は非常に少なく、県内の各病院で神経外来を行い、脳波や治療法の相談を受け、対応しておりました。しかし最近は、小児神経医を志す若手医師が増えてきており、活気に満ちております。


神経グループのメンバー

山本達也 (助手)
花田 勇 (助教)
藤田浩史 (非常勤医師)
石澤 恵 (医員)
石井知愛子(医員)

腎臓グループ紹介

特徴

腎臓グループは小児腎臓病,自己免疫性疾患,アレルギー性疾患を対象として診療,研究,教育を行っています。腎疾患では,先天性腎・尿路系疾患,各種の腎炎症候群,ネフローゼ症候群,急性・慢性腎不全を,自己免疫性疾患では,全身性エリテマトーデス (SLE),若年性特発性関節炎,若年性皮膚筋炎,血管炎症候群などを,アレルギー性疾患では気管支喘息,アトピー性皮膚炎,食物アレルギーなどの子どもたちを担当しています。豊富な症例から得られた貴重な臨床知見や臨床研究の成果は,国内や海外の学会で発表され,英文での論文報告として広く公表されています。


診療

週のスケジュール
火曜日午前中:腎臓外来
金曜日午前中:腎生検
その他:画像検査(超音波検査,排尿時膀胱造影,CT,MRI,シンチグラムなど)
    入院,外来患者についてのカンファランス
    腎生検を実施した症例の病理組織についての検討
腎生検:当科では主にエコーガイド下経皮的針腎生検を実施しています。年間約20例を実施しています。これまでに実施した症例の主な病理診断は次のようなものです。IgA腎症,紫斑病性腎炎,膜性腎症,膜性増殖性腎炎,ループス腎炎,微小変化型ネフローゼ症候群,巣状分節性糸球体硬化症,ネフロン癆,アルポート症候群,菲薄基底膜病など。
維持透析導入:小児外科と連携し,腹膜透析用カテーテル挿入術を行い,腹膜透析を導入,管理しています。
体外循環血液浄化療法:当科では泌尿器科,集中治療部(ICU),臨床工学技士と協力し,血漿交換療法,持続的血液濾過透析,急性腎不全症例の緊急透析,難治性ネフローゼ症候群に対するLDL吸着療法,免疫疾患への免疫吸着療法などを行っています。
特殊療法:若年性特発性関節炎に対する生物学的製剤による治療,難治性ネフローゼ症候群に対するリツキシマブ治療を行っています。


研究

基礎的な研究としては,田中 完教授,敦賀和志助教を中心に当大学大学院医学研究科脳血管病態部門の今泉忠淳博士と協力し,培養ヒトメサンギウム細胞を用いた自然免疫系(TLR3, TLR4, retinoic acid-inducible gene-I)経路を介した炎症機構の解明とその制御に関する研究,腎疾患の非侵襲的検査法の開発を目的とした尿沈渣細胞を用いた各種機能分子mRNA発現の研究を行っています。臨床研究としては腎疾患,自己免疫性疾患のより非侵襲的かつ有効な免疫抑制療法の開発を一貫して行っています。以上の研究の成果は国外の専門誌 (NDT誌,Am J Nephrol誌,Nephron誌, Pediatr Nephrol誌,Kidney Blood Press Res 誌,CEN誌,Clin Nephrol誌,Nephrology誌,Lupus誌,Clin Rheumatol誌,Mod Rheumatol誌,Pediatr Res誌,Acta Paediatr誌,Pediatr Int誌など)に継続して報告されており,内科領域を含む国内外から広く注目されています。


腎臓グループのメンバー

田中 完 (教育学部教授)
敦賀和志 (助教)
津川浩二 (助教・海外留学中)
渡邊祥二郎(助教)
相澤知美 (医員)

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