教室案内

教授挨拶

弘前大学 医学部 泌尿器科学講座 教授 畠山 真吾

ようこそ!
弘前大学泌尿器科へ

弘前大学医学部泌尿器科学講座は昭和37年(1962年)に開設されました。初代の舟生富寿教授から平成元年(1989年)に2代目 鈴木唯司教授へ,平成16年8月から3代目 大山 力教授へと引き継がれ、令和5年10月(2023年)から私が教室の主任を担当しております。1962年の開講以来、教室ではグラスファイバー膀胱鏡および尿管鏡の開発、副腎ステロイドホルモン代謝、カテコールアミン代謝、代用膀胱の開発、血液透析、急性腎不全、移植免疫、尿路上皮癌に対するBCG療法に関する研究など多方面において優れた研究業績を発信してきました。今後は、これらの研究分野に加えて、糖鎖生物学、分子生物学の手法を取り入れて日常診療に直結した研究を展開していきます。

泌尿器科では腎・尿路・男性生殖器および副腎などの後腹膜臓器の疾患を扱います。その対象とする患者は老若男女を問わず、診療内容は悪性、良性腫瘍、排尿障害、神経疾患、男性不妊症、勃起障害、婦人泌尿器科、腎血管外科、腎移植、尿路感染症、先天奇形、内分泌・代謝疾患、結石症など広範囲にわたります。そして、これらの疾患の診断から治療、経過観察までをトータルマネジメントするのが我々泌尿器科医の仕事です。

現在我国では他国に例を見ない速度で高齢化が進んでおります。一昔前まで「高齢者における手術療法の検討」と言えば、65歳が区切りでした。しかし、現在65歳の方の平均余命は男性18年、女性23年です。実際に手術をお受けになる患者さんの年齢も徐々に上昇しています。ご高齢の患者さん、合併症を抱えた患者さんにはより低侵襲な手術や治療法が必要です。副腎腫瘍や腎癌に対する鏡視下手術は標準的治療法としての地位を確立しつつあり、有能な術者の育成は急務であります。また、QOLの妨げとなる尿失禁などの排尿障害も泌尿器科医が取り組むべき重要な問題です。

さて、わが国の死亡原因としては悪性腫瘍が30%を占め、その割合は年々増加しています。泌尿器科領域では前立腺癌が急増していますが、個々の患者さんのご希望、病期、癌の悪性度を考慮して慎重に治療法を選択する必要があります。早期前立腺癌の治療にはさまざまなオプションが存在しますが、当科では安全で確実な前立腺全摘術を提供しています。また、当院放射線科と協力しつつ最近注目を集めているBrachytherapy(小線源療法)の導入の準備を進めています。膀胱癌においては、膀胱全摘術後の尿路変向術として私たちの教室で独自に考案した回腸を利用した代用膀胱を導入しています。

研究面では糖鎖の研究に力をいれています。細胞表面に発現する糖鎖は「細胞の顔」として、さらにシグナル伝達物質として重要な生理機能を有し、発癌、細胞の増殖、癌の転移・浸潤、発生と分化、精子形成、細菌感染、ウイルス感染、受精、炎症、神経の伸長、免疫など多彩な生命現象において重要な役割を果たしています。このように多彩な機能を持つ糖鎖の構造と役割を研究するのが「糖鎖生物学」という学問領域です。その研究手法には、生化学、化学、分子生物学など多方面に亘るテクニックが駆使されます。そして、泌尿器科学と糖鎖生物学が意外にも大変広い研究分野を共有しているのです。当講座では泌尿器疾患の研究に糖鎖生物学、分子生物学、免疫学の手法を取り入れています。 最近ではPSAの糖鎖変異を検出するS2,3PSA%を開発し、保険適応にむけ申請中です。また癌特異的ペプチドを用いた癌特異的中性子補足療法(BNCT)の開発を行っており、低侵襲かつ高効果な治療の提供を目指して、日々研究を続けております。

このように当教室ではこれまでの診療・研究業績をさらに発展させるだけでなく、新しいアプローチも積極的に取り入れて質の良い医療とレベルの高い研究を目指しています。尚、このホームページでは当科の診療のご案内、治療成績、卒後研修システム、博士号取得システムなどについてもご紹介しておりますのでご覧ください。

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