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膵がんは代表的な難治性のがんで、5年生存率は約5%と推測されています。また、2004年の膵がんによる死亡率数は約22,000人であり、我が国におけるがん死の第5位です。
膵がんのおよそ70%の患者さんで、診断時にリンパ節、肝臓、腹膜、肺などへ転移、もしくは血管への腫瘍浸潤のため切除が不能であり、膵がん全体の5年生存率は5%以下と極めて不良です。中でも腹膜転移の存在は、膵がん患者の予後を規定する重大な因子のひとつであります。腹膜転移はその進行に伴って腹水貯留、消化管閉塞、水腎症などを来たし、腹痛、腹部膨満、嘔気、嘔吐、便秘、低栄養や腎障害など患者さんの生活の質を著しく低下させます。膵癌に対する治療法は多く開発されておりますが、腹膜転移患者さんに特化した治療法はいまだ確立されておりません。したがって、腹膜転移の進行を抑制する治療法の開発は重要な課題となっております。
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