膠芽腫は、神経膠腫と呼ばれる脳腫瘍の中で最も悪性度が高く、現在でも治療が困難な病気です。この病気は手術のみでの治療は困難であり、放射線・化学療法も一緒に行われますが、再発を来す場合も多く、その場合の治療法は限られている状況です。
再発膠芽腫の治療は、「テモゾロミド(TMZ)」による治療が行われていましたが、最近「ベバシズマブ(BEV)」という新しいタイプの抗がん剤が膠芽腫に効果があることがわかりました。現在は再発膠芽腫に対する標準治療はBEV療法となっています。一方TMZは初発時の治療で用いた薬ですが、これも臨床試験によって、TMZを一週間ごとに内服と休薬を繰り返すことで用量を増やす方法(ddTMZ)が再発膠芽腫に効果があると報告されています。
現在の標準治療の問題点は、BEV療法を行った後に再発・増悪が認められた場合、有効な治療薬がなくなってしまうことです。そこで我々は、まずddTMZで先に治療を行い、あとからBEVを用いることで、より良い治療効果が得られるのではないかと考えました。
これまでに、先にddTMZ療法を行い、あとからBEVを用いる方法(ddTMZ-BEV療法)と、最初からBEVを使う標準治療のどちらが優れているかを比較検討した試験はなく、専門家の間でも意見が分かれている状態です。本試験により、再発膠芽腫に対する優れた治療法を明らかにすることができます。
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