初期研修(1~2年目)
当科では原則として弘前大学医学部附属病院の卒後初期臨床研修プログラムに準じて初期研修を行っており、大学病院または大学病院と研修協力病院を2年間ローテートすることになります。
(弘前大学医学部附属病院卒後臨床研修センターのホームページもご参照下さい。)

当科では消化器疾患、血液疾患、膠原病の研修を行いますが、腫瘍内科とも協力体制にあり癌化学療法についての研修も可能です。研修期間中に当科にローテートしてきた場合は、病棟の診療グループのいずれかに配属され、入院患者の診療を担当します。午前中は所属する診療グループに関係なく腹部超音波、消化管内視鏡検査、X線検査などの検査を学び、新患患者の診察も担当します。
研修内容は、日常診療で遭遇する消化器疾患、血液疾患、膠原病に適切に対応できるよう、プライマリケアの基本的な診療能力(態度、知識、技能)、検査手技を習得させることを目的としています。これらの基本的な臨床能力のみならず、患者および家族との円滑なコミュニケーションに基づいた患者の心理・身体状況の把握、患者並びに家族の社会的背景の理解などを基盤とした診療を通じて、医師としての人格を涵養することが重要です。

- 研修総括責任者(プログラム責任者)
- 福田眞作(附属病院 消化器・血液・膠原病内科 科長)
- 研修指導責任者
- 櫻庭 裕丈(附属病院 消化器・血液・膠原病内科 総医長)
- 指導医
福田眞作 (消化器血液膠原病内科・教授) |
日本内科学会認定医・指導医、日本消化器病学会専門医、指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化管学会専門医・指導医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医 |
高見秀樹 (保健学科・教授) |
日本内科学会認定医・指導医、日本血液学会血液専門医・指導医 |
佐々木賀広 (医療情報部・教授) |
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医 |
玉井佳子 (輸血・再生医学講座・教授) |
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本血液学会血液専門医・指導医、日本がん治療認定機構がん治療認定医、日本輸血・細胞治療学会認定医、日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医 |
山形和史 (消化器血液膠原病内科 ・診療准教授) |
日本内科学会認定医・指導医、日本消化器病学会専門医、指導医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本血液学会血液専門医、日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医 |
三上達也 (光学医療診療部・准教授) |
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、指導医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化管学会専門医・指導医、日本大腸肛門病学会専門医、日本消化器がん検診学会認定医、日本カプセル内視鏡学会認定医・指導医 |
遠藤 哲 ・診療准教授) |
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、指導医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医・指導医、日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医 |
佐藤 研 (消化器血液膠原病内科・講師) |
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医、日本心療内科学会専門医、日本心身医学会専門医・研修指導医 |
三上健一郎 (消化器血液膠原病内科 診療講師) |
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本肝臓学会専門医・指導医 |
櫻庭裕丈 (消化器血液膠原病内科・准教授) |
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医、日本リウマチ学会専門医 |
珍田大輔 (地域医療学講座・講師) |
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本プライマリ・ケア連合学会認定医・指導医 |
澤谷 学 (消化器血液膠原病内科助教) |
日本内科学会認定医・指導医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化管学会専門医、日本ヘリコバクター学会認定医、日本がん治療認定機構がん治療認定医 |
間山 恒 (消化器血液膠原病内科助教) |
日本内科学会認定医、日本血液学会血液専門医 |
平賀寛人 (消化器血液膠原病内科助教) |
日本内科学会認定医・指導医、日本消化器病学会専門医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本がん治療認定機構がん治療認定医、日本リウマチ学会専門医 |
菊池英純 (消化器血液膠原病内科助教) |
日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本消化器病学会専門医、 日本消化器内視鏡学会専門医、日本消化管学会専門医・暫定指導医 |
澤田直也 (消化器血液膠原病内科助教) |
日本内科学会認定医・指導医、日本消化器病学会専門医 |

(1)到達目標
GIO:一般目標
プライマリケアの基礎知識を土台にして、消化器病、血液病、膠原病などの専門知識を深め、幅広い知識を有する内科医をめざす。
SBOs:行動目標
厚生労働省案に記載されている、(1) 患者-医師関係、(2) チーム医療、(3) 問題対応能力、(4) 安全管理、(5) 医療面接、(6) 症例呈示、(7) 診療計画、(8) 医療の社会性、の8項目を達成できること。
(2)研修内容

当科では病棟診療を下記の3グループによるグループ診療で行っている。研修医は希望する診療グループを選択し、各グループに所属して研修を行う。配属された診療グループのスタッフの指導のもとに、日常よく遭遇する代表的疾患の病態・診断に関する知識を習得する。種々の基本的検査(消化管内視鏡検査、消化管造影検査、腹部超音波検査、骨髄検査など)については、診療グループとは無関係に別のスケジュールに従って研修を行い、検査の概要とその適応につき習得する。
また、救急患者に対しては所属の診療グループの患者でなくても、積極的に特に初期治療に参加することが望ましい。
なお、研修医の配属グループについては希望を優先するが、人数の偏りが著しい場合は指導責任者と各研修医との相談により決定する。
〈消化器血液膠原病内科診療グループ〉
1) 消化管・免疫グループ(指導医:三上達也、櫻庭裕丈、珍田大輔、平賀寛人、菊池英純ほか)2) 肝胆膵グループ(指導医:遠藤 哲、佐藤 研、三上健一郎、澤田直也ほか)
3) 血液グループ(指導医:山形和史、玉井佳子、高見秀樹、間山 恒ほか)


GIO:一般目標
代表的な消化管疾患、膠原病の診断学、治療方針に関する基礎的知識を身につける。
SBOs:行動目標
1) 以下の疾患について、診断方法、基本的な治療方針を述べることができる。
食道 : 食道炎(逆流性、感染性)、食道異物、食道静脈瘤、食道癌
胃 : 急性胃粘膜病変、消化性潰瘍、胃癌
大腸 : 大腸ポリープ、大腸癌、大腸憩室
その他: 消化管穿孔、腸閉塞、急性虫垂炎
2) 腹痛、吐・下血、下痢などの主要徴候の病態生理を理解できる。
3) 急性腹症を診断できる。
4) 胃管・イレウスチューブの適応、手技、管理について説明できる。
5) 以下の検査の適応を理解し、その主要な異常所見を述べることができる。
下記の①、⑤、⑥については、自身で適応を決定し指示できる。
① 腹部単純写真
② 胃、小腸、大腸X線造影検査
③ 胃、大腸内視鏡検査
④ 内視鏡的逆行性膵胆管造影
⑥ 糞便検査(潜血、培養検査)


GIO:一般目標
代表的な免疫異常を呈する疾患についての診断・治療方針に関する基礎的知識を身につける。
SBOs:行動目標
1) 全身におよぶ炎症に関する症候論が理解できる。
2) 不明熱などを中心に多角的に理学所見をとることができる。
3) 血清マーカー、画像診断について検査の適応決定および理解ができる。
4) 他診療科とのconsultationの適応とタイミングが理解できる。
5) 以下の疾患についての診断・治療方針をのべることができる。また、いずれも原因不明の疾患
であるが免疫異常を中心とした分子病態理論についてdiscussionできる。
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関節リウマチ、SLE、皮膚筋炎、多発性筋炎、全身性硬化症、成人発症Still病、シェーグレン症候群、血管炎症候群、肺高血圧症、抗リン脂質抗体症候、 強直性脊椎炎 |
6) さらにステロイドの適応と使用法、免疫抑制剤の使用法、分子標的治療法について指導する。


GIO:一般目標
代表的な肝胆膵疾患の診断学、治療方針についての基礎知識を身につける。
SBOs:行動目標
1) 肝臓癌の画像診断、治療方針について理解できる。
2) 肝動脈塞栓術、ラジオ波焼灼術、エタノール注入療法の適応・合併症について述べることができる。
3) 黄疸、腹水、肝性脳症などの肝不全の主要徴候について、病態生理とそ の対策について述べることができる。
4) 食道静脈瘤の内視鏡的診断・治療について述べることができる。
5) 以下の疾患について診断方法、基本的な治療方針を述べることができる。
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急性肝炎(劇症肝炎)、慢性肝炎、肝硬変、肝膿瘍、薬剤性肝障害、 自己免疫性肝炎、原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、脂肪肝 |
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胆石症、胆嚢ポリープ、急性胆嚢炎、胆管炎、胆嚢癌、胆管癌 |
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急性膵炎、慢性膵炎、膵臓癌、膵嚢胞性腫瘍 |
6) 指導医のもと腹部超音波検査を行い、主要な疾患の異常所見を理解し、診断できる。


GIO:一般目標
代表的な血液疾患についての診断・治療方針に関する基礎的知識を身につける。
SBOs:行動目標
1) 以下の疾患について、診断方法、基本的な治療方針を述べることができる。
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急性白血病、慢性白血病、多発性骨髄腫 |
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鉄欠乏性貧血、二次性貧血、巨赤芽球性貧血、再生不良性貧血、溶血性貧血 |
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特発性血小板減少性紫斑病 |
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血友病、フォンウィルブランド病、播種性血管内凝固症候群 |
2) 輸血の適応と適切な輸血製剤・輸血量を理解する。
3) 骨髄穿刺検査を施行できる。
4) 骨髄生検検査の適応を理解できる。
5) 免疫不全状態における易感染性が理解でき、適切な抗菌治療を選択できる。


- 身体診察法
全身の観察、頭頸部の診察、胸部の診察、腹部の診察、骨・関節・筋肉の診察、精神面の観察
- 基本的な臨床検査
<必須項目>
血液型判定・交差適合試験、腹部超音波検査、上部消化管造影検査、注腸造影検査
<経験すべき項目>適応の判断と、結果の解釈
一般尿検査、便検査、血算・白血球分画、心電図、動脈血ガス分析、血液生化学検査、血液免疫血清学的検査、細菌学的検査・薬剤感受性検査、肺機能検査、髄液検査、細胞診・病理組織検査、単純X線検査、上部消化管内視鏡検査、下部消化管内視鏡検査、内視鏡的膵胆管造影、超音波内視鏡検査、造影X線検査(その他)、腹部CT検査、腹部MRI検査、核医学検査 - 基本的手技
<必須項目>
気道確保、人工呼吸、心マッサージ、圧迫止血法、注射法(皮下、皮内、筋肉、静脈)、採血法(静脈血、動脈血)、腰椎穿刺法、導尿法、ドレーン・チューブ類の管理、胃管の挿入と管理、局所麻酔法、創部消毒とガーゼ交換、皮膚縫合法、軽度の外傷の処置
<経験すべき項目>
穿刺法(腹腔、胸腔)、中心静脈確保、包帯法、簡単な切開・排膿、気管挿管 - 基本的治療法
<必須項目>
診療録の作成(POS)、処方箋・指示書の作成、診断書の作成、死亡診断書の作成、CPCレポート(剖検報告)の作成・症例呈示、紹介状・返信の作成 - 頻度の高い症状
<必須項目>
全身倦怠感、不眠、食欲不振、体重減少・増加、浮腫、リンパ節腫脹、発疹、黄疸、発熱、頭痛、めまい、嘔気・嘔吐、胸やけ、嚥下困難、腹痛、下痢・便秘、関節痛、排尿障害、尿量異常、不安・抑うつ
<経験すべき項目>
失神、けいれん発作、視力障害・視野狭窄、結膜の充血、聴覚障害、鼻出血、嗄声、胸痛、動悸、呼吸困難、咳・痰、腰痛、歩行障害、四肢のしびれ、血尿、肝性脳症 - 緊急を要する症状・病態
<必須項目>積極的に初期治療に参加すること
急性腹症、急性消化管出血、意識障害、脳血管障害、ショック、急性心不全、急性腎不全、誤飲・誤嚥
<経験すべき項目>
急性感染症、外傷、急性中毒 - 経験すべき疾患・病態・医療行為
<必須項目>
・食道・胃・十二指腸疾患(食道静脈瘤、胃癌、消化性潰瘍、胃・十二指腸炎)
・小腸・大腸疾患(イレウス、急性虫垂炎、痔核・痔瘻、感染性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病)
・肝疾患(ウイルス性肝炎、急性・慢性肝炎、肝硬変、肝癌、アルコール性肝障害、薬物性肝障害)
・横隔膜・腹壁・腹膜疾患(腹膜炎、急性腹症、ヘルニア)
・貧血(鉄欠乏性貧血、二次性貧血)
・関節リウマチ
・食事、運動、禁煙指導とストレスマネジメント
・性感染症予防
<経験すべき項目>
・胆嚢・胆管疾患(胆石、胆嚢炎、胆管炎)
・膵疾患(急性・慢性膵炎)
・白血病
・悪性リンパ腫
・出血傾向・紫斑病(DIC)
・SLE
・アレルギー性疾患
・心理社会的側面への配慮
・緩和ケア
・告知をめぐる諸問題への配慮
・死生観・宗教観などへの配慮
(3) 週間スケジュール
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | |
午 前 |
病室回診 | ||||
新患外来 | 総回診 | 新患外来 | |||
内視鏡 腹部US |
食道・胃ESD 腹部US 透視 |
EIS、DBE ERCP |
内視鏡 腹部US |
内視鏡 腹部US 透視 |
|
午 後 |
TCS | 大腸ESD EUS |
TCS | ||
(病 室 回 診) | |||||
X線写真 検討会 |
X線写真 検討会 |
||||
病 室 回 診 | |||||
病理 カンファレンス |

- 骨髄穿刺、肝生検、内視鏡的治療(粘膜切除術、消化管拡張術、ステント留置、内瘻術、胃瘻造設術など)、超音波ガイド下治療(RFA、PEI、PTCD、膿瘍ドレナージなど)は随時行われるので、指導医の許可を得て積極的に参加することが望ましい。
- この他、各診療グループで週1回のカンファレンス。随時、症例検討会、学会予行あり。


〒036-8562 青森県弘前市在府町5
弘前大学大学院医学研究科 消化器血液内科学講座
TEL 0172-39-5053 (直通)
FAX 0172-37-5946


