乳腺・甲状腺・消化器外科学講座より2名、山名と三浦がゲノム生化学講座で手厚いご指導の下、研究を行っております。
大量肝切除後、もしくは過小肝移植後に遷延する胆汁うっ滞は、術後合併症や在院死亡につながることが 知られていますが、その発症機序は明らかにされていません。胆汁の主要構成成分であり細胞毒性を有する 胆汁酸についての肝再生過程における輸送機構を明らかにすることは、上記の胆汁うっ滞に起因する諸問題の 解決にとって重要であると考えられます。 本研究は、遷延性高胆汁酸血症を呈する大量肝切除後の肝再生過程での胆汁酸輸送膜タンパク質 (Ntcp、Mrp4、Bsep)の発現変化を、ラット90%肝切除モデルで検討しました。 本研究により、遷延性高胆汁酸血症は、持続するNtcpの発現低下と局在変化による血中からの胆汁酸取り込み 抑制およびMrp4の発現上昇による血中への排泄亢進が関与していることが示唆されました (Miura T, J Hepatol, 2010)。 これらの結果から、細胞毒性のある胆汁酸の細胞内濃度を下げることで肝再生を容易にする輸送膜蛋白の 防御的機構が考えられました。
かねてよりゲノム生化学講座で研究されているラット肝におけるGST遺伝子多型による非遺伝子毒性物質による 肝発癌感受性の差について、非肝実質細胞、具体的には類洞内皮細胞、星細胞、クッパー細胞の関与や 遺伝子発現の差を解析しております。その中で、肝発癌と星細胞の減少に関連があることが示唆されました。 (Yamana D, Cancer Sci, 2011)。
肝再生を制御したい、癌を制圧したいという夢に向かって、これらの知見から新たな研究を模索しています。
大学院生 | 三浦 卓也 | Takuya Miura |
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大学院生 | 山名 大輔 | Daisuke Yamana |