感染生体防御学

研究概要

 当教室が関わる肝・腎移植に関連し、感染生体防御学講座にて幹細胞治療や移植免疫操作について研究しています。感染生体防御学講座は中根明夫教授をはじめ、総勢18名で構成されており、移植免疫の他に、細菌・寄生虫等の微生物感染症や炎症性腸疾患等の分野で幅広く研究しています。

 平成22年度の研究では、サケ軟骨に含まれるプロテオグリカンが炎症性腸疾患の発症抑制に関与していることがわかり、その機序には制御性T細胞が大きな役割を果たしていることを解明しました。

また、脂肪組織から採取した間葉系幹細胞には免疫調節作用があることが知られています。過剰な免疫応答に起因する劇症肝炎の治療に間葉系幹細胞を用いる実験を行い、治療効果を得ることに成功しました。

さらに現在、臓器移植に対する免疫制御を目的として脂肪組織由来間葉系幹細胞を用いる実験を行っています。現在の移植医療には、感染症に対する脆弱性や薬剤の副作用など、免疫抑制剤に関連した問題が多々あります。一方で、骨髄移植後に他臓器の移植片が生着することが知られています。消化器外科教室では、骨髄あるいは末梢血幹細胞と脾細胞を用いたドナー特異的免疫寛容誘導に関する研究をしてきました。現在、免疫制御の働きが注目されている間葉系幹細胞を用いたドナー特異的免疫寛容誘導法の確立を臨床応用へ向け、研究中です。

大学院生 久保 寛仁 Norihito KUBO
大学院生 三ツ井 敏仁 Toshihito MITSUI